変わらない空 沖国大ヘリ墜落15年(5)米軍訓練が激化する北部  西銘晃さん(66)、金城武政さん(62)

 東村高江の西銘晃さん(66)は15年前、車の運転中にラジオで沖縄国際大学へのヘリ墜落を知った。「またどこかに落ちるのでは」。その不安が現実のものとして自身に降りかかったのは、2017年10月のことだ。

自身の牧草地にヘリが不時着炎上し「本当に事故が起こるんだと痛感させられた」と話す高江の西銘晃さん=2日、東村高江

 米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが、西銘さんの牧草地に不時着炎上。機体は大破し、周辺の土壌も西銘さんの同意がないまま運び出された。

 高江に隣接する米軍北部訓練場の過半(約4千ヘクタール)が返還されたのは16年12月。政府は「基地負担軽減」を強調したが、高江周辺には6カ所の着陸帯(ヘリパッド)が返還条件として新設された。牧草地の炎上事故はその約1年後だった。

 西銘さんは「返還後も午後11時ごろまで飛行することがしばしば。負担軽減になっていない」と嘆く。沖縄防衛局の測定で60デシベル以上の騒音は18年度、高江区の牛道、車の両地域でそれぞれ過去最多となった。

 集落には米軍機が避けて通るための航空標識灯が新たに設置されたものの、西銘さんは「標識灯を目印にあえて集落を目指しているのかと思うくらい、特に夜に飛んでいる。なんでわざわざこの上空を通るのか」と怒る。

 一方、普天間飛行場の移設先として新基地建設工事が進む名護市辺野古。隣接するキャンプ・シュワブ訓練場内には六つのヘリパッドがあり、「戦術着陸帯」に位置付けられる。離着陸や旋回訓練が実施され、集落上空も飛行経路にかかっている。

 「人口の多い少ないの問題じゃない。一般市民をないがしろにされたら困る」。辺野古に住む金城武政さん(62)は、新基地ができれば訓練が激しさを増すと懸念する。

 政府は辺野古に移設すれば「飛行経路も海上へ変更され、騒音対策が必要な住宅はゼロになる」と強調する。しかし、米軍によると県内の米軍施設に設置されているヘリパッドは88カ所。普天間から辺野古に移設されても、ヘリパッドでの訓練は続く。 

 「新基地にはオスプレイが最大100機駐機できるとされる。夜間訓練も当たり前になるんじゃないか」。県内各地に網の目のように張り巡らされた「空の危険」。そこに絡めとられた現実が、金城さんの心を重くする。

(北部報道部・當銘悠、嘉良謙太朗)