故翁長雄志さんが知事になって初の復帰の日。記者会見で「沖縄の心とは何ですか」と聞いた。突然の質問だったので即答しなかったが、後に県議会で「ウヤファーフジ(祖先)を敬い、誇り高く生きる心」と見解を述べた

▼沖縄の知事に「沖縄の心とは」と聞くのは、重要だと思っている。ウチナー政治家としての人生観が凝縮されていると考えるからだ

▼県庁内の会議で先週「沖縄の心」を巡る議論が起きた。県の文書に「平和を希求する沖縄のこころ」という表現があるが、定義がよく分からないという指摘だ

▼外部の識者から「平和を希求する心は万人が持つ。特別に沖縄の心と言われると、何だろうかとなる」との意見もあった。東京勤務時代のある官僚の口癖を思いだした。「戦時は東京で大空襲、広島と長崎で原爆投下があった。悲惨な体験は沖縄だけじゃない」

▼沖縄戦は国内で唯一の大規模な地上戦。本土決戦に向け、時間稼ぎの捨て石にされた。軍隊が住民を防波堤にした理不尽さが、本土と決定的に違う。翁長さんは慰霊の日の平和宣言で「悲惨な戦争の体験こそが、平和を希求する沖縄の心の原点だ」と述べた

▼沖縄に住む私たちが平和を訴え続けるのは、歴史に裏付けられた必然性がある。沖縄の心とは。ウヤファーフジと過ごすお盆の期間に、仏壇の前で考えたい。(吉田央)