沖縄県内の泡盛メーカーの若手技術者が、企業の垣根を越えて新たな泡盛造りに挑んでいる。泡盛は発酵させたもろみを蒸留して造るが、新たに開発中の泡盛は蒸留工程を3回繰り返すというかつてない製法が特長だ。雑味を除き、米の甘みを引き立てるなど、理想の香りや味を求めた試み。科学的な分析や、世界に売り込む戦略的な考えに共感が広がり、今年秋の共同商品化に向けて12社が賛同している。(政経部・島袋晋作)

瑞泉酒造の伊藝壱明さん(右から2人目)から、3回蒸留する泡盛の製造法を学ぶ泡盛メーカーの製造担当者ら=7月、那覇市の瑞泉酒造

 「ようこそ、日本のハードリカーへ」をコンセプトに、昨年11月から新たな泡盛造りプロジェクトを進めているのは瑞穂酒造、石川酒造場、まさひろ酒造、瑞泉酒造4社の20~40代の製造技術者たちだ。

 メンバーは2017、18年度に実施された内閣府の沖縄型産業中核人材育成事業で、泡盛の香味表現やマーケティングを学んだ仲間。従来「若手技術者の会」という親睦会で顔を合わせる関係だが、事業成果を生かして商品化を目指そうと、外部の専門家も交えて議論を重ねてきた。

 「アルコール度数が40度を超える蒸留酒は日本では泡盛だけ」という強みを生かし、ジンやウオッカなど世界を代表する酒に肩を並べられる酒造りを志向。東京のバーなどに出向いてヒアリングを重ね、商品戦略を練ってきた。

 泡盛業界では、伝統的な製法で造った酒をタンクや甕(かめ)などによる貯蔵方法や、貯蔵期間などで差別化するのが主流。今回の新しい泡盛は、理想の香味に狙いを定めて製法を検討していく開発プロセスも新しいという。

 「3回蒸留」の泡盛は、甘くすっきりとした味わいに仕上がった。7月8~16日にかけ、実際の蒸留機を使った勉強会も開催。参加した各メーカーの担当者から「雑味が抜けて甘みが引き立つ」「米のうま味を感じる」など好評を得た。

 今後、商品のネーミングやボトルデザインなど取り組む課題は山積するが、瑞泉酒造製造部の伊藝壱明さん(40)は「イメージ通りの泡盛が出来上がりつつある。この泡盛を入り口として、古酒も含めた市場拡大につなげたい」と意気込んでいる。