◆沖縄県歯科医師会コラム「歯の長寿学」(283)

イラスト・いらすとや

 肩こり、腰痛、膝痛、頭痛、その他不快感はございませんか? つらい自覚症状があるのに、検査をしてもわからない、特に病気でもない状態にお悩みになっていませんか? こういう症状を不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼びます。その原因はもしかすると、顎のずれ、噛(か)み合わせの悪さにあるかもしれません。

 噛み合わせとは、上顎と下顎に並んだ歯の接触状態を意味します。この噛み合わせが悪いと、当然ですが顎のズレを引き起こします。では、それがなぜ不定愁訴の原因となるのでしょう?

 人間の頭の重さは約6キロ(だいたいボウリングの玉くらい)、そこに約1キロの下顎が筋肉で宙づりにぶら下がっています。人の頭は頚椎(けいつい)の上に乗っています。頚椎は腰の骨盤にかけてつながり脊柱を形成します。ここで想像してみてください。1キロの下顎がズレたら6キロの頭が傾き、それを支える頚椎はバランスを取ろうとします。結果、脊柱がゆがむ。するとそこから誘発されるさまざまな症状が現れ、体全体の問題になっていきます。顎と頭と脊柱だけでなく、それを取り巻く神経や血管、筋肉、筋膜や皮膚の影響も計り知れません。頭蓋にぶらさがっている下顎の可動域は広く、それゆえに偏った位置に移動しやすいのです。

 上下左右の歯がバランスよく噛み合い、効率的に食事を咀嚼(そしゃく)できるような『噛み合わせ』が当然、理想的です。しかし虫歯があったり、歯が抜けてそのままだったり、きちんと歯がそろっているのに(もちろん入れ歯やブリッジ、インプラントも含まれます)しっかりと噛めていないことがあります。また噛み過ぎてもいけません。歯ぎしりや食いしばりはさらなる筋肉の緊張を生み出し、体のバランスをゆがめます。こういった癖がある方は歯科医院でスプリント治療を受けることをお勧めします。

 不定愁訴にお悩みであれば、一度歯科を受診してみてはいかがでしょうか?(砂川明穂 すながわ歯科 石垣市)