知能が発達した人間は、動物の中でも味覚が良いと思いきや、案外そうでもないらしい。日本味覚協会のサイトを見ると、犬や猫より優れているが、牛や豚に劣る

▼味は、味蕾(みらい)と呼ばれる味細胞の集合体で感知し、数が多いほど味覚が良いとされる。人間は舌以外に上あごや喉の奥などにあり5千~1万個ほど。全動物で最多はナマズの約20万個。口の中だけでなく全身にあるというから舌を巻く

▼その人間の味覚を上回る再現性とでも言おうか。肉の代わりに植物由来の原料を使う「代替肉」市場が広がりをみせている

▼米大手チェーンのバーガーキングは8日から全米約7千店舗で代替肉バーガーの販売を始めた。沖縄でも、動物由来の食品を口にしないビーガン(完全菜食主義者)対応の店が約50店舗。健康志向や動物愛護の風潮が後押しする

▼肝心の味はどうか。テレビで紹介された東京都内の店でバーガーを食べてみると、味や食感、あふれる肉汁まで遜色ない。知らずに食べたら恐らく気付くまい

▼意外なのは、店がことさら代替肉をPRしていないこと。普通のバーガーに紛れてしれっとメニューに並ぶ。肉が食べたい人は肉を、そうじゃない人は代替肉を。嗜好(しこう)は違えど、当たり前に共に食す。ナマズならずとも、そんな食文化の多様性がうま味をさらに引き立たせた。(西江昭吾)