社説

社説 [高校野球改革] 投球数の指針づくりを

2019年8月17日 08:54

 第101回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)は3回戦が行われ、頂点を目指し熱戦を繰り広げている。

 県代表の沖縄尚学は1回戦で延長戦の末、習志野(千葉)に逆転負けを喫したが、堂々たる戦いぶりだった。

 今年の高校野球は勝負とは別に投手の投球数制限を巡り地方大会から論議を呼んだ。

 岩手大会決勝で最速163キロを誇る大船渡のエース佐々木朗希投手を監督が登板させなかったからだ。故障予防のため連投を避けたのである。

 監督の判断に毀誉褒貶(きよほうへん)が渦巻いた。野球人生は高校で終わりではない。監督もファンも息長く活躍できる環境づくりに力を尽くすべきだ。

 議論の火付け役となったのは新潟県高野連だ。昨年12月、今年の春季新潟大会で投球数が100球に達した投手はそれ以降の回で投球できない、とするルールを独自に取り入れると明らかにしたからだ。導入は見送られたが、日本高野連は投手の障害を予防する有識者会議を発足させた。

 練習のやりすぎで肘や肩を故障する中学生、小学生も少なくない。高校野球の道を断たれる子どもがいることは憂慮すべき事態だ。

 全日本軟式野球連盟は小学生の学童野球で投球数を1日70球以内、硬式野球の中学生ポニーリーグが1日85球までとする投球数制限を決めた。

 日本高野連の有識者会議は全国大会で一定の日数で投げられる球数を制限することを11月の答申に盛り込む。1試合の投球数に上限を設けないのはなぜなのか。環境改善に消極的といわざるを得ない。

    ■    ■

 日本高野連は昨年の選抜大会から延長十二回終了時に同点の場合、延長十三回無死一、二塁から始めるタイブレーク制を導入。今年の夏の甲子園からは準決勝前に加え、決勝戦前にも休養日を追加した。

 野球が盛んな米国には年代ごとに投球数の上限を示したガイドラインがあるという。

 高校生に相当する17、18歳は1日の最大投球数が105球。しかも登板間隔まで具体的に定められている。参考にすべきガイドラインだ。

 思い出すのは1991年、夏の甲子園で準優勝に導いた沖縄水産の大野倫さんだ。4連投を含む全6試合、778球を1人で投げ抜いた。右腕は「く」の字に曲がり、帰郷して受けた診断は「剥離骨折」。二度とマウンドに立つことができなかった。

 無理に無理を重ね投手生命を絶たれては元も子もない。球児の将来を最優先にガイドラインづくりを急ぐべきだ。

    ■    ■

 県高野連は沖縄大会を土日を中心に試合日程を組んでいる。試合間隔が空くことで選手が過労にならないよう配慮し、3連戦も避けている。

 ただ投手の投球数制限についての議論はしていない。強豪校は部員が大所帯でエース級を複数そろえることができる一方、部員9人を集めるのも精いっぱいの学校の二極化が進んでいるからだ。

 沖縄大会決勝で興南のエース宮城大弥投手は延長十三回で228球を投げ抜いた。指導者の意識も変える必要がある。県高野連は投球数制限の議論を始めるべきだ。

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