4月に東京・池袋の車暴走事故で娘の松永真菜さん(31)と孫の莉子ちゃん(3)を失った上原義教さん(62)=那覇市=は、4カ月近くたつ今も眠れない日々が続いている。高齢運転手による事故で一瞬にして最愛の家族を亡くした悲しみと憤り。厳正な処罰を求めると同時に、判断力や運転能力に不安のある高齢者に運転免許返納を促す取り組みの必要性を訴えている。(社会部・城間陽介)

目に涙をためながら亡き娘と孫への思いを語る上原義教さん=13日、那覇市

目に涙をためながら亡き娘と孫への思いを語る上原義教さん=13日、那覇市

 「昨年ディズニーランドに行った時の動画です。まだ2歳ですね」。上原さんはスマートフォン画面に映る莉子ちゃんの小躍りする姿を見ながら目を赤くした。

 3歳になりおしゃべりが上手になってきたこと、毎年夏にやんばるへキャンプに連れて行ったこと。事故前日には「じいちゃん、水着も買ったよ」とテレビ電話で会話もした。

 幸せな時間は事故で一変した。一報を受けて駆け付けた警察署の安置室で2人と対面。亡くなったことが信じられず、足元から崩れ落ちた。

 事故後しばらく、自宅に飾ってあった孫の写真を片付け、目に入らないようにした。「今もCMで親子が出たり、公園で親子連れを見たりするとつらい」と明かす。

 運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)は足が不自由でつえを使っていたことが明らかになった。現場にはブレーキ痕がなく、上原さんは「そもそも、なぜ運転が認められていたのか」と怒りが込み上げる。上原さんの元には元院長側から謝罪はないという。

 事故を受け、高齢者に免許返納を促す機運が高まっていると感じる。一方、車社会の沖縄に住んでいることもあり、「免許を返納してと言うだけでは難しい」と車に代わる公共サービスの必要性を挙げる。「公共交通の整備拡充や利用料金の補助など、高齢者がどうすれば移動しやすくなるのか社会全体で取り組む時だ」と強調した。

 上原さんら遺族は18日午前10時~午後3時、沖縄県庁前の県民広場で厳罰を求める署名活動を行う予定。

■65歳以上の事故2割 沖縄、過去最高ペース

 沖縄県警交通企画課によると、2019年上半期(1~6月)に県内で起きた交通人身事故のうち、65歳以上の高齢者が第1当事者の事故は20・2%だった。過去最大だった18年の18・9%を上回るペースになっている。

 交通人身事故に占める高齢者の割合は09年11・8%だったが、14年から急上昇し、18年は09年比で1・6倍に増えた。

 人身事故全体の件数は18年4435件で、09年比で1889件減った一方、高齢者の事故件数は18年837件で、09年比89件増えた。