ふるさとの訛なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく。短歌甲子園の舞台は早世の歌人、石川啄木を生んだ盛岡市。昭和薬科大付属高の生徒がふるさとを詠み、最優秀作品に輝いた。団体戦でも準優勝。帰県後に話を聞いた

▼団体で、連覇中の強豪と当たった。1対1で迎えた大将戦。國吉伶菜さんの「碧海(へきかい)に/コンクリートを流し込み/儒艮(ジュゴン)の墓を建てる辺野古に」に、会場がどよめいた

▼王者を退けたテーマは「流」。ふるさとへ投入されるカタカナの異物に着目した。青にサンゴ礁の碧が映える海、希少な生きもの。守りたいものたちを漢字で包んだ

▼相手校の教師が「迫力が桁違いでした」と脱帽したこの歌が、最優秀作品。國吉さん、島袋乃碧(のあ)さん、徳村帆華さんには誓いがあった。「本土に、沖縄の現状を伝えたいよね」

▼団体決勝で一矢報いたのも、島袋さんが基地を詠んだ作品。歌人の小島ゆかりさんが「ニュースの言葉が詞へ生まれ変わる瞬間に立ち会えた」と講評した。願いは届いていた

▼顧問の砂川亨さん(52)は「沖縄の生活に根ざした歌をつくろう」と助言した。生徒が選んだ基地問題は賛否がある。「葛藤はあった。でも、僕の葛藤を押しつけたくない」。尊重された自主性が、沖縄を照らす言葉を生んだ。若き日の光と影を歌に投射した、啄木のように。(吉田央)