命ぐすい耳ぐすい 沖縄県医師会編(1200)

 RSウイルス感染症(以下RSV)は毎年冬に流行する代表的な呼吸器感染症ですが、なぜか沖縄では毎年夏に流行します。今年も6月ごろから例年以上の流行がみられ、外来・病棟はRSV患者であふれています。

 さてこのRSVですが、流行すると毎年保育園から検査を指示された患者が殺到します。この現象はインフルエンザが流行する時にもみられますが、大きな違いはRSVの検査には保険適応が決められており簡単にはできないということです。ちなみに(1)1歳未満(2)入院患者(3)シナジスという予防接種が必要な基礎疾患のある患者が適応となります。RSVは何も特別な感染症ではありません。2歳までにほぼ100%の方が感染し、その後も何度もかかります。年長児から成人ではちょっとした感冒症状のみで、中には感染を自覚していない方もいるでしょう。逆に乳幼児がかかると、細気管支炎や脳炎などを合併し重篤化することがあります。

 残念ながら特別な治療法はなく、抗生剤も効きません。分泌物が非常に多くなり、かつ気道が炎症により狭くなるため痰(たん)がらみの咳(せ)き込みやゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸困難がしばらく続きます。このような状況での咳止め薬は痰の排泄(はいせつ)を遅らせるどころか、乳児では呼吸を止めることもあり使用には慎重を要します。生後1か月未満の乳児がかかると典型的な症状もなく、無呼吸発作から突然死を起こすこともあり特に注意が必要です。

 しかし3歳を超えてくると一般的な風邪と同じ症状で終わることがほとんどです。もちろん喘息(ぜんそく)や肺炎の合併には治療が必要ですが、わざわざ検査をしてまでRSVかどうか判定する必要はありません。RSVの検査の感度は約90%程度ですので見逃しも生じえます。RSVが流行している時点で、感冒症状のある幼児は他の感染同様に隔離が必要です。特に0歳児には接触しないよう配慮してください。

 忘れてはいけないのがRSVは咳や鼻水、接触などで伝播(でんぱ)するため園児に関わる大人がマスクや手洗いなどの感染予防を徹底することです。(大城征 やえせ子どもクリニック 八重瀬町)