先週末の予想最高気温は40度近く。猛暑への注意を促す昼のニュースを見終わり、自宅を出る。向かった先は埼玉県北部の熊谷市。昨年7月に41・1度の国内最高記録を観測し「日本一暑い街」として知られる

▼生まれて初めての40度体験をもくろんだが、思い通りにはいかず。目抜き通りの百貨店入り口に設けられた高さ4メートルの巨大温度計は36・6度。駅舎の屋根から冷却ミストが噴射される暑さ対策が日本一らしい

▼残暑は続くが、週をまたぐと幾分、東京の暑さは和らいできた。きょうは二十四節気の処暑。「処」は落ち着くという意味を持つ。季節の移ろいを感じるだけで、心にゆとりが生まれてくる

▼1年を約15日おきに季節を表した二十四節気はよく耳にするが、さらに約5日ずつ区分けした七十二候は、なじみが薄い。調べてみると、中国から伝来した暦らしく、漢詩の一節のようでやや難解だ

▼処暑でいえば、綿の実がはじける頃を意味する「綿柎開(わたのはなしべひらく)」、暑さが収まるという意の「天地始粛(てんちはじめてさむし)」、穀物が実り始める時期を指す「禾乃登(こくものすなわちみのる)」の三つ。いにしえの人々は、花鳥風月の小さな変化を72の呼び名に込めたのだろう

▼仕事帰りの夜ふけ。都心の住宅街を歩くと、どこからか虫の声が聞こえてきた。南国沖縄より一足先に、こちらでは秋の気配が少しずつ近づいている。(西江昭吾)