「県性暴力被害者ワンストップ支援センター」の病院拠点型施設が開所した。完全に独立した建物で、性暴力被害の発生直後から相談員が被害者に寄り添い、診察やカウンセリング、必要があれば警察・司法などへの付き添いなど一体的な支援を担う。

 県が運営する性暴力被害相談の専用施設は全国初。幅広いサポート体制が必要なセンターが十分機能するには継続的な財政援助が不可欠で、県の運営は長期的な被害者支援の土台を確保することにもつながり、評価できる。

 県のセンターは2015年、財政や人材確保が困難なことを理由に、平日の日中に限り相談を受け付ける形でスタートしていた。

 今回の専用施設開所に伴い、相談受け付けを年中無休の24時間に拡充。12年に県内の当事者団体「ワンストップ支援センターの設立を強く望む会」が声を上げてから7年、ようやく本来の被害者支援態勢が整った。

 内閣府が3年に1度実施している男女間の暴力に関する調査によれば、20歳以上の男女の20人に1人、女性に限れば13人に1人が「無理やり性交された経験がある」と回答した。しかし、被害をどこにも相談しなかった人は女性が6割、男性も4割に上り、多くが「泣き寝入り」している現状がある。

 被害を相談しなかった理由として最も多かったのは「恥ずかしくて誰にも言えなかった」。性被害に対する社会の偏見が、被害者を支援から遠ざけている実態がある。センターには、1人でも多くの性暴力被害者を、できるだけ早く関係機関の支援へつなぐことが求められる。

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 被害の潜在化は、県のセンターのスタート時から今年5月末まで4年間に受け付けた287人の相談状況をみても明らかだ。性暴力は、被害を受けた後できるだけ早く適切なケアを受けることが大切だが、緊急避妊薬で望まない妊娠を避けることができる72時間以内に相談した人はわずか10%の29人だった。73%にあたる210人は、被害から1週間以上たってから相談している。

 県は、センターの利用や性暴力についての正しい知識を呼び掛ける「with you」カードを県内の病院や小学校に送付、全中高校生に配布しているが、十分とはいえない。カードは申し込みがあれば県が無料で送付するが、カード設置を申し出た民間団体はこの間、数カ所にとどまっている。

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 性被害者は心身に大きなダメージを受ける。病院や警察などいくつもの機関に足を運び、そのたびにつらい体験を説明し、場合によっては心ない対応で二次被害に遭う。センターにはそんな事態を避ける機能も必要だ。県は専用施設開所に伴い、未成年の被害者が繰り返し被害説明をしなくて済む「司法面接」の対応もとる。ただ性被害の苦しみは成人も同じで、今後は成人への対応もいる。

 有用な支援も確実に届けてこそ。被害者が安心して声を上げることができる社会づくりも進めたい。