沖縄県糸満市糸満の市公設市場近くで、おでんや串揚げなど11店が集まる屋台村風の居酒屋「いちまん横丁」が新たな憩いの場になっている。アイデアの主は企画・運営に当たる「いちまん会」社長の上原亮さん(36)=市兼城。ふるさとのマチグヮーを再び「地元の笑顔が行き交う場にしたい」と今年5月にオープンさせた。(南部報道部・堀川幸太郎)

赤い鳥居が目印の「いちまん横丁」のスタッフたち。最後列右端がアイデアを形にした「いちまん会」社長の上原亮さん=糸満市糸満

11店の自慢の味を一度に味わえる屋台村型の「いちまん横丁」店内

赤い鳥居が目印の「いちまん横丁」のスタッフたち。最後列右端がアイデアを形にした「いちまん会」社長の上原亮さん=糸満市糸満 11店の自慢の味を一度に味わえる屋台村型の「いちまん横丁」店内

 上原さんは市糸満出身で糸満中学、糸満高校と進んだ。同級生たちとの学校帰りに、お菓子や天ぷらを買いに立ち寄ったのが市場かいわい。映画館やゲームセンター、カメラ店、洋服店などが並び、市場は「店を営むおばあちゃんたちの声で、活気にあふれていた」と思い出す。

 東京の専門学校で学び、22歳で帰郷。理学療法士で病院勤めの後、2012年に「デイサービスいちまん」(市真栄里)を設立した。今は市内3カ所で介護事業を営む。

 市が市場を建て替える話を進めていた17年、「互いに結婚して家庭を持ち、会う機会が減った友人たちと、元気かと顔を合わせる場をつくりたい」と考え始めた。職場のお年寄りたちが懐かしむ市場一帯のにぎわい再生に貢献したくもあった。

 手作りの赤い鳥居が目印の店は「糸満のカラオケボックスの草分け的存在で、昔のにぎわいを連想しやすい」と5年前に閉店した旧「カラオケ・タートル」の約200平方メートルを改装した。1店平均13平方メートル余りで11店、カウンターとテーブルで全178席。友人らに出店を呼び掛けた。刺し身やすし、おでん、ステーキなどを味わえる。カラオケバーもある。

 中には経営に初挑戦する店長も。「串揚げ酒場松村」の仲間雅人さん(26)=市潮平=は「1カ所で各店の自慢の味が一度に楽しめる場で、元々多かった地元客の輪が広がっている。横丁で知り合って次に一緒に来る方もいる」と語る。「百味飲食 小店」の比嘉祥規さん(26)=那覇市=はカウンター越しに見る人模様を「絆の濃さは糸満ならではかも。案外、女性のグループ客が多い」と話す。

 横丁オープンから3カ月、かいわいの夜の人通りは増えた。他のスナックに流れる客がいる。来年6月にはマチグヮーの象徴である市場を建て替えた新施設が全面オープン予定で、人出を当て込んで近所で空き店舗を探す人もいるという。上原さんは「市場で上質な魚や肉、野菜を仕入れるなど、市場も横丁も客も『三方よし』を目指したい」と活気をつなぐ思いに満ちている。

 横丁の営業時間は午後5時~午前0時。時間が異なる店もある。金・土曜日は全店営業する。