沖縄出身で、東京で活躍している女性の映画監督がいると聞いた。いつか会ってみたいと思っていたら、監督いわく「問題の勝負作」を引っさげて、23日、沖縄に帰ってきてくれた。「沖縄にいたころは孤独だった」という当時の気持ちを投影させ、脚本も手がけた最新作「アンダー・ユア・ベッド」には、誰にも名前を呼ばれたことない男性の繊細な心が描かれている。(デジタル部・與那覇里子)

映画「アンダー・ユア・ベッド」。主演の高良健吾さん

 安里麻里監督は沖縄での幼少期、家庭の事情で安里家の養子になった。

 「養子って気を遣うんですね。突然知らない人に囲まれて、家に居ても学校にいっても置いてもらっているような感じです。何年たってもその気持ちは消えませんでした。人と話した記憶もあまりありません。だからなのか、高校を卒業したら外に出て行かなくちゃいけないと強く思っていたんです」

映画『アンダー・ユア・ベッド』の製作秘話を語る安里麻里監督=那覇市久茂地 沖縄タイムス

 卒業後は横浜国立大学の教育学部に進学。そこで友人から映画サークルに誘われ、自主映画の撮影を初めて見たことが映画監督になる一歩になった。
 
 「芝居を撮ることは分かっているけど、カット割りのことや音の付け方、レールに乗ってカメラを回すとか、作り手側の視点に立つと楽しかった。将来のことは想像つかなかったけど、映画に関してだけは、次は何を撮影したらいいのかということを次々と考えることができたんです。地味だった自分が夢中でやれたことが映画でした」

「アンダー・ユア・ベッド」のワンシーン。

 沖縄を離れて2年ほどでプロの世界に飛び込み、黒沢清監督の元で学んだ。黒沢監督は今年、ロカルノ国際映画祭で前田敦子さん主演の「旅のおわり世界のはじまり他のサイトへ」が上映され、喝采を浴びている。

 その黒沢監督に認められ、監督への階段を上ってきた。