NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナーを書籍化した「絶望名言」は、古今東西の文学作品から絶望に寄り添う言葉を紹介する。大学時代に難病を発症し、13年に及ぶ療養生活を経験した頭木(かしらぎ)弘樹さんが選定・解説する言葉は奥深い

▼例えば、作家カフカの〈生きることは、たえずわき道にそれていくことだ〉。思いがけず大病を患い、「本来の人生を失った。脱線してしまった」との意識に苦しんだ頃に出合い、救われたという

▼一見ネガティブ。だが悲しい時にバラードが聴きたくなるように、つらい気持ちを代弁する言葉に、無理に前を向かなくてもいいと言われている気がして心が軽くなる

▼夏休み明け前後に増える子どもの自殺を防ごうとの取り組みが広がっている。新聞各紙では、いじめや挫折を経験した著名人らの体験談を掲載。県内でも「#不登校は不幸じゃない」と題した全国一斉のイベントがあり、不登校経験者が「学校に行けなくても大丈夫」と語り掛けた

▼千差万別の体験談に共通のメッセージが読み取れる。生きづらさを抱えている「君」へ、焦らなくてもいい。絶望の中でも一人じゃない、と

▼頭木さんは、絶望している人誰しもが真っすぐ立ち直れるわけでないとし「ゆっくりそばにいて、せかさずに」と助言する。君の周りにも寄り添う大人がいる。(大門雅子)