今や沖縄を訪れる観光客のおよそ3人に1人が外国人である。「観光」と「生活」の折り合いをどうつけるのか。オーバーツーリズム対策は待ったなしだ。 

 外国人旅行者の増加による住民生活への影響について、県と11市町村が「問題が起きている」と回答するなど、支障が出始めている実態が明らかになった。

 共同通信の全国自治体アンケートによるもので、県内は問題を抱える市町村が目立って多かった。

 外国人観光客が押し寄せる負の影響として挙げられたのは「公共交通の混雑」「騒音やごみ」「私有地への立ち入り」などだった。

 大きなトランクを抱えた観光客でモノレールが混雑し県民が利用できなかったり、ゲストハウスに宿泊する客の騒音に困っているという話はよく聞く。ごみのポイ捨てなどマナー違反を指摘する声も少なくない。住宅地と観光地が混在する地域では、他人の土地に勝手に入り込む旅行者が問題となっている。

 アンケートでは、さらに11市町村が「現時点ではトラブルはないが、今後懸念される」と回答。県内自治体の半数以上が、訪日客増に何らかの問題を感じている現実が浮かび上がった。

 沖縄観光コンベンションビューローなどは、観光客を「うとぅいむち(おもてなし)」の心で温かく迎え入れる「ウェルカムんちゅ」キャンペーンを押し進めている。

 生活への影響が深刻化すれば、うとぅいむちの気持ちもしぼみかねない。

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 観光客の急増に伴い地域の生活環境が悪化する現象を「オーバーツーリズム」と呼んでいる。より調子を強め「観光公害」と表現することもある。

 2018年度に沖縄を訪れた観光客は999万9千人で、6年連続して過去最高を更新した。中でも急増しているのが外国人客で初めて300万人を突破。この5年で5倍近くも増えている。

 「レジに並ばない」「モノレールで携帯で大声で話す」などの行為に眉をひそめる県民も多いが、背景にあるのは文化や習慣の違いだ。

 「クルーズ船が来ても渋滞が発生するだけで地元にお金が落ちない」などの声は、経済効果が感じられないまま負担だけが増えていくことへの不満ともいえる。

 ともすれば「訪日客対地元」の構図になりがちだが、旅行に不慣れな外国人と地元の受け入れ態勢の不備による摩擦と考えれば解決策も見えてくる。

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 海外では人気の高い観光地への入場を制限したり、有料化で規制する取り組みが始まっている。極端な季節変動をなくし分散させる政策にも乗り出す。 

 県が導入を目指す「宿泊税」は、受け入れ態勢の充実など市民生活と調和した持続可能な観光地形成を目指すものだ。

 数だけを競い、住民生活への目配りを欠いた観光に持続性はない。ここはしばし立ち止まり、観光と暮らしの両立を腰を据えて考える時である。