沖縄タイムス+プラス ニュース

「沖縄バッシングと似た構図」 津田大介さん、混乱から見えたもの

2019年8月29日 11:07

 「慰安婦」問題や昭和天皇を題材にした作品が抗議、脅迫を受け、中止に追い込まれたあいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」。芸術監督の津田大介さんに企画意図や中止判断、混乱から見えた日本社会の問題点について聞いた。(聞き手=東京報道部・又吉俊充)

「棄損された表現の自由をリカバリーしたい」と語る津田大介氏=26日午後、東京都港区

「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会が展示の中止を決めた「平和の少女像」=3日、名古屋市

「棄損された表現の自由をリカバリーしたい」と語る津田大介氏=26日午後、東京都港区 「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会が展示の中止を決めた「平和の少女像」=3日、名古屋市

 -企画の狙いは。

 「契機は2015年に民間のギャラリーで見た『表現の不自由展』。僕自身ジャーナリストでアートにも興味があり、アートとジャーナリズムが地続きで交差する場所って、こういうことなんだと。アートの検閲的な状況にメディアは同じ危機感を抱えなければいけないと思った。公的な場所での美術表現が制限されているとも感じていた」

 -「不自由展・その後」は公的な場所、トリエンナーレで始まった。

 「民間だったら普通にできる表現がひとたびパブリック・セクター、つまり公共性の高い場所になると批判が集中してできなくなる。ゆえに美術館や行政がある種の忖度(そんたく)や自己検閲して表現ができなくなってしまう状況に対し問題意識があった。不自由展を会期の75日間展示できれば、行政で当たり前に行われている検閲的状況に、美術館が対抗するモデルケースになるんじゃないか。ここは大きな動機だった」

 -今回の事態になる前から公共施設でこうした展示をやることがそもそもの狙いだった。

 「狙いは大村秀章愛知県知事にも、事務局にも伝えた。ただ警備の都合で事前の説明が多方面に十分できなかったこともあり、非常に苛烈な抗議が来てしまった。しかも政治家があおるようなことを言い、収拾がつかなくなり現場が崩壊した。責任を感じていると同時にトリエンナーレの事務局自体が被害者でもある」

 -抗議の電話で事務局がパンクした。中止判断は致し方なかったか。

 「僕は間違ってないと思う。現実的にテロの恐怖がどれだけあるのか。展示の2週間前に京都アニメーションの放火事件があり、電話口で『ガソリンまくぞ』と言われたり、実際にファクスも来たり。『テロに屈するのか、展示を続行しろ』という意見も理解できる。だが現場のストレスが非常に強い状況で、あの時点では続けることができなかった。ある意味、職員と観客の生命が人質に取られた状況だった」

SNSから見える沖縄幻想のメディア

高文研
売り上げランキング:38,832
前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
きょうのお天気