浦添市は、深夜の子連れ飲食を制限する政策を検討中だ。本年度から各地域で円卓会議を開くなど動きが加速している。市民からは子どもの健康被害を懸念し制限を後押しする声の一方、制限により育児放棄(ネグレクト)が助長されることを懸念する声などが上がる。琉球大学教育学研究科の上間陽子教授は制限について「行政がすべきことではない」とし、「なぜ深夜に子連れで飲食するのかを調べ、親子の生活を改善するための政策こそが必要」と語る。(浦添西原担当・宮里美紀)

深夜の子連れ飲食について議論する市民ら=7月31日、浦添市内間・神森中学校

深夜の子連れ飲食について議論する市民ら=7月31日、浦添市内間・神森中学校

 深夜の子連れ飲食制限案は、2017年の浦添市長選で松本哲治市長が掲げた公約の一つ。18年度には市民意識調査を実施し、19年度からは各地で円卓会議が始まっている。秋頃には市内の事業者の意見も募る予定。市は、市民や事業者、識者らの意見を踏まえ、制限しないことも含めて検討しているという。

◆市民慎重姿勢も

 深夜の子連れ飲食制限を巡る第3回円卓会議は7月31日、神森中学校区で開かれた。

 周辺住民ら約50人が集まり、6グループに分かれて、市があらかじめ議論の参考として提示した(1)深夜の子連れ飲食が子どもに与える影響(2)子連れ飲食が許される時間帯は何時までと考えるか(3)深夜の子連れ飲食への対応方法-の議題について意見を述べ合った。

 住民からは「居酒屋だと受動喫煙が心配」「睡眠不足になる」など子どもの健康被害を案ずる声が上がった一方、「親子のコミュニケーションでもある」「結婚式の場合は別では」との意見もあった。制限することで親が子を置いて外食するようになるなど「ネグレクトを助長しないか」と悩む人もいた。

 第1回の円卓会議では他の議題もいくつか提案された。市が公開している資料によると、そのうちの一つ「条例化は必要か」には、6グループ中4グループが「条例より先に大人の意識改革を」「標語、宣言でよい」などとして、条例化に慎重な姿勢を示していた。

◆規範強化に懸念

 識者らは自治体によって深夜の子連れ飲食が一律で制限されることに懸念を示している。

 子どもの貧困問題や若年妊産婦に詳しい上間教授は「深夜の子連れはいけないという道徳規範だけを強化すると、親子は地下に潜り社会から見えなくなるだけ。いっそう子どもを危険にする」と指摘。「なぜ深夜に子連れでいるのか知り、雇用や働き方にメスを入れ生活を整えるのが行政の仕事だ」と訴えた。

 県の未就学児調査に関わった沖縄大学の山野良一教授は、県内の長時間労働の多さなどに触れ「深夜にしか集まれないような労働環境が背景にあるのでは」と推測。深夜の子連れ飲食は子どもにとって悪い面も良い面もあるはずとし「考えようと呼び掛けるのは良いが、白黒付けられる問題だろうか」と話した。