沖縄県内63館ある公立や大学の図書館のうち3館が、利用者の住所・氏名や貸し出し冊数などの情報を裁判所の令状のないまま捜査当局の照会に応じて提供していたことが30日、沖縄タイムスの取材で分かった。今後照会があれば「書名や氏名を含む貸し出し履歴を提供する」と答えた図書館もあった。利用者情報は思想信条と深く関わるだけに、識者からは外部チェックの働かない任意捜査の拡大を懸念する声が上がっている。

沖縄県警本部

 図書館への照会は刑事訴訟法に基づく「捜査関係事項照会」。令状がなくても、捜査当局の内部手続きだけで出せる「任意捜査」に位置付けられる。

 本紙が63館にアンケートを送付し、62館から回答を得た。

 糸満市立中央図書館が「(特定人物の)利用者カード発行の有無と貸出冊数」を提供したと回答。名護市立中央図書館は「(特定人物の)カード利用状況の有無を調べて回答したが、その人物はすでに除籍されていた」としている。

 那覇市立中央図書館は「特定期間の本の借用者と返却者の住所、氏名、生年月日」を提供した。理由について「児童へのつきまとい事案が発生し、重大事件への発展を防ぐためにやむを得なかった」と答えた。

 粟国村中央公民館図書室は、今後照会があれば、書名や氏名が書かれた貸し出し帳簿を提供するという。

 令状なしの照会への対応基準は「ない」「無回答」が17館で、回答した館の約3割を占めた。

 県警刑事企画課は取材に対し「照会先に過度の負担が生じないよう必要最小限度の内容で照会する。被疑者の早期検挙や事件解明のため照会は必要」と答えた。

 日本図書館協会は「図書館の自由に関する宣言」で、令状がある場合以外は利用者の読書事実を外部に漏らさないことをうたっている。(社会部・城間陽介、比嘉太一、西倉悟朗)

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