96年前のきょう発生した関東大震災。災害の混乱の中で「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」などの流言飛語が飛び交った。各地で「自警団」などにより、数千人ともされる朝鮮人が殺害された

▼騒乱に巻き込まれ、殺害された日本人もいた。20歳くらいという県出身の儀間次助さん。当時の千葉郡検見川町(現千葉市)で殺害された。秋田県出身と三重県出身の若者も共に殺された。被災した東京方面から逃れてきたとみられる

▼事件を長年追った「沖縄の軌跡」発行人の島袋和幸さん(71)は、名前や年齢は各紙で微妙な違いがあるものの、当時の新聞などで事実関係を確認。社会に朝鮮人への差別がある中、恐怖の群集心理が働き、デマが行動を後押ししたと分析する。言葉や風体が違う地方出身者らが被害にあったことも指摘した

▼現代ではどうか。2016年の熊本地震の際も「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などのデマがネット上に投稿された。かつての事件は「過去の出来事」ではない

▼会員制交流サイト(SNS)の普及により、ヘイトスピーチやフェイクニュースであっても一瞬で拡散する。そこに差別が見え隠れする。はらむ危険性を理解すべきだろう

▼文明の利器を使う側が問われる。同時にかつて無念の死を遂げた数多くの人々を悼み、史実の重みをかみしめたい。(内間健)