大弦小弦

[大弦小弦]「図書館戦争」が描いた未来

2019年9月2日 08:15

 図書館を守る武装組織「図書隊」が国家による検閲に対抗し、戦闘を繰り広げる。小説「図書館戦争」シリーズの世界を、作者の有川浩(ひろ)さん自身が「こんな世の中になったらイヤだなー」と書いている

▼作中、警察が容疑者の貸し出し記録の任意提供を求める。図書館は「利用者の秘密を守る」という規定を根拠に断る。この規定は創作ではなく、日本図書館協会が採択した「図書館の自由に関する宣言」にある

▼実際はどうか。県内の3館が、捜査当局の任意照会に応じて利用者の情報を提供していたことが本紙取材で分かった。照会されれば貸した書名まで答えるという館もあった。捜査に必要な場合でも任意ではなく裁判所が出す令状を求めるべきだ、と宣言は定める

▼ひときわ強い表現がある。「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る」。官憲の思想調査に協力した歴史への反省が込められている

▼図書館でどんな本を借りたかを把握することは、心の中をのぞくことに近い。書架には対立する主張の本が並ぶ。図書館は内心と表現の自由を巡る最前線であり、自由を守り抜くためには決意が必要だ

▼各図書館は宣言に沿って、団結して対応してほしい。13年前に近未来の話として刊行された「図書館戦争」の時代設定は今年、2019年だった。(阿部岳)

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阿部 岳
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