社説

社説 [沖縄予算概算要求] 振興体制の変質検証を

2019年9月2日 08:30

 内閣府沖縄担当部局は、2020年度沖縄関係予算の概算要求を3190億円とすることを決めた。3年連続の同額要求で、県の要望を大きく下回る額だ。

 中でも使途の自由度の高い一括交付金は過去最も少ない額となっている。半面、県を通さず市町村などに直接交付する特定事業推進費は倍近い伸びをみせた。

 かいつまんで言えば、県の裁量が狭まり、国のコントロールが強まった予算内容である。

 改正沖振法の目玉として創設された一括交付金は、沖縄振興の重要なツールだ。住民ニーズは高いものの既存の補助制度では対応が難しい事業に光を当て、離島振興や人材育成、医療、福祉など幅広い分野への活用を可能にした。

 にもかかわらず予算総額に占める割合は年々低下。当初は半分を超える年もあったが、最近は3分の1ほどまで縮小している。

 来年度概算要求に盛り込まれた一括交付金はソフトとハードを合わせて1188億円。ピーク時と比べると700億円近く減っている。

 計画終了まで3年を切った沖縄振興計画「21世紀ビジョン基本計画」の推進には財源の裏打ちが欠かせない。

 県の調査では、ハード交付金の減額で老朽化した橋梁(きょうりょう)補修や洪水を防ぐ防災事業などの遅延が目立つようになり、県民生活への影響が生じ始めている。

 沖振法にもうたわれ、市町村から拡充を求める声も強いのに、なぜ減らされ続けるのだろうか。

    ■    ■

 昨年末の予算案決定時に登場した特定事業推進費は今回55億円の要求となっている。19年度当初予算比25億円増という大きな伸びだ。

 一括交付金創設に際しては県からの粘り強い働き掛けがあったが、特定事業推進費は国主導で突如として設けられたものだ。

 ソフト交付金を補完する位置付けとするものの、ならばソフト交付金拡充を優先すべきではないのか。そもそも県を介さないという仕組みに、「国の統制」や「恣意(しい)的運用」への懸念が消えない。

 本年度の特定事業推進費30億円は、沖縄市のアリーナ整備事業に21億円余り、宜野湾市の西普天間住宅地区の跡地利用計画推進事業などに約7千万円の交付が決定。民間補助事業として吉本興業の沖縄国際映画祭関連イベントに約8500万円などが配分されている。

    ■    ■

 一括交付金が予算総額の5割を切るなど急激に減ってきたのは翁長雄志知事就任以降である。国の責務として取り組むはずの振興策が、そのころから新基地建設に対する「踏み絵」のように使われ始めたのだ。

 基地受け入れを前提とした米軍再編交付金だけでなく、沖縄関係予算まで基地維持の貢献度によってということになれば地方自治は成り立たない。

 県は今、21世紀ビジョン基本計画の総点検作業中だ。国の恣意的な意向が働きやすい振興体制そのものについても徹底的な議論を求めたい。

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