沖縄県民なら、一度は見たことがあるでしょう。老舗「味の店 三郎」の看板にあった「伊勢エビ」を。三郎が2019年7月31日に閉店したため、伊勢エビは移動せざるを得なくなっていました。どこに行ったんでしょうか。(デジタル部・與那覇里子)

取材を進めると、「伊勢エビ」を引き取ったのは、那覇市内で居酒屋を中心に運営する「昭和村グループ」の新垣亮馬代表取締役社長でした。20歳で1号店を出し、31歳の現在、6店舗を経営する敏腕社長です。
沖縄や東京の経営者たちとの人脈があり、三郎の建物を引き取った会社の会長から「エビをもらうのは亮馬しかいない」と白羽の矢が立ったそうです。

そして、那覇市の竜宮通りの店舗なら目立ちそうだと居酒屋「まつり」に置くことになったといいます。
桜坂側から竜宮通りに向かって歩いていくと、こんな風に見えてきます。
【遠くにエビがいるのが見えますか】

【店の看板より大きいエビが!】

【角も入れると隣の隣の店舗まで】

新垣社長はエビ自体はもらったものの、取り外しと取り付けの費用は負担しました。合計50万円。
新垣社長は「置き場所を考えず、すぐにもらうことを決めてしまったけど、今はリサイクルショップで50万円で売られていても買わないな」と冗談を飛ばします。

9月中には、ライトアップをする予定ですが、建物の電圧が足りないため、これから工事をするといいます。これも新垣社長が費用を負担します。
「お店が『昭和』をテーマにしているので、歴史は大事にしたいと思っています。三郎も小学校のころから親しみのあるお店で沖縄の歴史でもありますからね」
店内には、昭和を感じるユニークなモノがたくさん置かれていて、白羽の矢が立ったのが分かった気がします。




店長の板橋悠作さん(26)は、伊勢エビのモニュメントが置かれると聞いた時、「マジ、ビビった」と話します。
でも、伊勢エビがクレーンで屋根に乗る様子を見ていて「エビと海は見たことあるけど、エビと青空の組み合わせは初めてだったので、面白かった。客や周辺店舗からも好評で集客は2~3割アップしたと思います」。

先ほどから、伊勢エビの看板が大きいことを強調してばかりですが、どのくらい長いのかお伝えしきれていません。
板橋店長と記者で測りました。


長さ約10メートル、幅は約3メートルありました。記者が調べたところ、路線バスと長さ、幅は同じくらいのようです。
さて、「伊勢エビ」をゲットした新垣社長ですが、時を同じくして、2018年に閉店した小禄ボウリングの看板のピンボウルももらわないかと声がかかりました。現在は倉庫に置いているそうです。
「なんで、巨大なものばかりやってくるのか分からないですけど(笑)。人と人がつながれば、モノともつながれる」と語っていたのが印象的でした。
