子どもたちの食の安心・安全が脅かされる事態が起こっている。

 那覇市の公立認定こども園17カ所のうち10カ所で提供された給食に異物混入が相次いで起きていたことが分かった。

 市が、こども園の報告を受けて確認した件数は2018年4月から今年7月までの1年4カ月の間に34件に上った。あまりにも多すぎる。

 そのうち、塗料片やポリスチレン片、小バエなど健康被害の恐れが高い「危険物」が4件あった。

 いずれも、那覇市の委託を受け、豊見城市にある民間業者が提供した給食だった。

 こども園に通うのは3~5歳の幼い子どもたちだ。給食に危険物が入っていても、何か分からず食べてしまうリスクが高い。異物の種類によっては命の危険さえある。保護者の不安は計り知れない。

 那覇市は市立幼稚園の認定こども園への移行を進めており、16~19年度に全園が完了した。

 問題のあった業者の配食数は17年度の3園260食から19年度には10園871食に増えた。ほかの業者を募ったがなり手がおらず、この1社が10カ所の公立こども園の配食を一手に担っていた。

 市は、異物混入が頻発したのは、こども園への移行で配食数が急増したことが関係しているとみている。

 市には、原因を徹底的に究明し、二度とこのような問題が起きないための手だてを講じる責任がある。

    ■    ■

 今回、那覇市は異物混入を把握しながら、園児が実際に口に入れた2件について子どもの保護者に説明しただけで、事実を公表していなかった。

 非公表の理由を市は「無用な不安を与えかねない」と説明したが、事実を隠蔽(いんぺい)する行為であり、保護者や保育士らの不信感を募らせるだけだ。

 最初に事実を明らかにし、対策を取っておれば、その後の被害は防げたかもしれない。市の責任は重い。

 問題解決の早道は可視化であり、まずは事実を公表することから始めるべきだ。

 市は学校給食の異物混入事故に対応する情報開示マニュアルを定めているが2007年につくられて以降改定されていない。そもそも認定こども園は対象に入っていない。

 認定こども園で異物混入が発生した際の対応や公表の基準づくりは喫緊の課題で、市は早急にマニュアル策定に取り組むべきだ。

    ■    ■

 17~18年にかけて、沖縄市で異物混入が相次いだことがある。小学校の給食に、調理器具のスライサーの刃の一部が混入したり、調理場でネズミの死骸が見つかったりした。

 市は問題を受け、独自に学校給食の「異物混入対応マニュアル」を策定し、発見時の対応や保護者、報道機関への公表方法などを詳しく定めた。

 異物混入はどの市町村でも起こり得ることだ。事故が起きてから重い腰を上げるのでは遅い。子どもたちに安心・安全な給食を提供することは、行政の義務だということを忘れてはならない。