改正ドローン規制法に基づいて基地上空を飛ぶ試みは、準備段階から困難の連続だった。自衛隊や警察が繰り返し制限をかけようとし、本紙は改正法の範囲内で対応するよう求めた。今後の運用に向け、法に基づかない規制の先例を作らないよう努めた。

改正ドローン規制法の施行後、報道目的で初めて小型無人機で撮影した陸上自衛隊朝霞駐屯地=8月27日午後3時、埼玉県・東京都

改正ドローン規制法基地上空飛行の手続き

改正ドローン規制法の施行後、報道目的で初めて小型無人機で撮影した陸上自衛隊朝霞駐屯地=8月27日午後3時、埼玉県・東京都 改正ドローン規制法基地上空飛行の手続き

映像の確認・削除を打診 自衛隊

 自衛隊基地の上空を飛ぶためには、10営業日前までに基地司令の同意を申請する必要がある。飛行区域の地図やドローンの写真が求められる。

 本紙は7月にファクスで同意を申請したが、国土交通省から取得した人口集中地区上空の飛行許可が沖縄県限定だったことに気付き、一度取り下げた。全国の飛行許可を取り直した上で、再度8月の飛行を申請した。

 基地によって対応は分かれた。陸上自衛隊朝霞(あさか)駐屯地は当初、「弾薬庫とミサイル部隊は防衛上、撮影を禁じている」と言明した。本紙が秘密保全は理由にできないと指摘すると、代わりに安全上の理由を挙げた。

 担当者は当日も、弾薬庫周辺の飛行について「努めてご遠慮ください」と要望した。近くに電線を張り巡らせた地域があり、本紙も安全を考慮して飛行させなかった。

 陸自側はまた、事前に飛行ルートを線で示すように求めた。ルートは当日の天候や現場の状況で変わる。当日現場でルートを調整することにして、陸自側は駐屯地全域の飛行に同意した。

 航空自衛隊府中基地は同意を出す前に、「手の内が明らかになるような部隊活動や、隊員個人のプライバシーが対外的に明らかになることは適切でない。撮影記録した映像は隊員が確認し、必要に応じて削除をお願いする」との条件を付けようとした。

 本紙は撮影映像の確認や削除依頼は実質的な検閲に当たり、報道の自由を守る観点から受け入れられないと説明。プライバシーに配慮することは伝え、空自側も条件を撤回した。

 一方、飛行区域は基地全域を申請していたが、基地の一角にあるグラウンド上空だけに制限された。空自側が理由にしたのは「墜落の危険」。飛行の安全は航空法に従って確保していることを伝えたが、2度目の申請でも飛行区域は広がらなかった。

ファクス申請 署で違い 警察 

 改正ドローン規制法で、基地上空の飛行は原則禁止となった。基地司令の同意を得た合法な飛行であることを警察に示すため、48時間前までに通報することが定められている。埼玉県と東京都にまたがる朝霞駐屯地では周辺の2警察署、府中基地は所轄する1警察署、の計3署に通報した。

 7月の申請段階では、うち2署がファクスで通報を受け付けると説明、残る1署は直接出向くよう求め、対応が食い違った。本紙は7月の飛行をいったん中止した後、警察庁に統一見解を尋ねた。

 回答は「署名、押印を求めており、書類の真正性の担保の観点からファクスでの通報は受け付けていない」「対面での手続きを推奨する」。自衛隊が認めるファクスを否定する法的根拠も聞いたが、回答はなかった。

 沖縄から48時間前までに出向くことは難しい。規制法の施行規則にはドローンの実物を警察に示すことが難しい場合は写真でも良い、という規定もある。本紙は警察庁にそのことを指摘した上で通報書を3署に郵送し、最終的には受理された。

 ただ、通報期限の48時間前が迫っており、書類の不備を指摘されれば郵送による再提出が間に合わない可能性がある。慎重を期すため自衛隊が同意した飛行区域より狭め、書類を何度も書き直して約5時間かけて作成した。

 警察はさらに、写真部記者が国交省から取得した人口集中地区上空飛行の許可書や身分証明書の写しを追加で郵送するよう求めた。本紙は法に規定がないことを理由に断り、現場では自衛官と警察官に提示した。