2019年度の新聞協会賞編集部門の一つに秋田魁新報社が選ばれた。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備問題を巡り「『適地調査、データずさん』のスクープなど一連の報道」が評価された

▼配備候補地に関する防衛省の調査報告書に事実と異なるデータが用いられていることを明らかにし、スクープした

▼報道を受け、防衛省は誤りを認め、岩屋毅防衛相が国会で謝罪。候補地の再調査につながった。調査報道の手本といえ、「地元新聞社が国家の安全保障問題に真正面から向き合い、政府のずさんな計画を明るみに出した」ことが認められた

▼学校や住宅地に近すぎる地区への配備は「おかしい」との素朴な疑問から始まった。取材班代表で同紙社会地域報道部編集委員の松川敦志さん(47)は「普通に考えてあり得ない場所。政治的に決まったことに、つじつま合わせの理由を後付けしているとの疑念が尽きない」と話す

▼前職の朝日新聞記者時代に那覇総局長などとして沖縄の基地問題を取材した経験が生きているという。民意軽視の強引なやり方は「辺野古問題と似ている」と指摘する

▼「そもそもどうして候補地になったのか」。問題の本質を掘り下げる取材を見据える。地域目線で住民の「なぜ?」に答える地元紙の役割を再確認させられた。受賞に拍手を送りたい。(石川亮太)