宮古島市の不法投棄ごみ撤去事業を巡って下地敏彦市長らに事業費約2250万円の返還を求めて提訴した市民6人に対し、市は名誉を毀損(きそん)されたとして1100万円の損害賠償を求めて民事訴訟を起こす議案書を市議会9月定例会に上程した。「市民団体の足を止めたいのが本音」「振り上げた拳を下ろせなくなっている」。異例の提訴方針には、下地市長を支持する側からも疑問視する声が上がっている。(宮古支局・知念豊、社会部・伊集竜太郎)

(資料写真)宮古島市

不法投棄ごみの撤去めぐり

 そもそもの発端は、市が2014年度に実施した不法投棄ごみの撤去事業だ。市は市内3カ所に1650トンのごみが残存しているとして、市内の業者と2251万8千円で撤去の契約を締結。業者は1090トンを回収したと報告し、市は契約金全額を支払った。

 だが、実際の回収量は報告した量の約12%、約134トンしかなかったことが後に発覚。業者は回収量を水増しし、担当職員も計量票を偽造していたことが判明した。

 問題発覚を受け、市民6人は16年1月、下地市長らに対して事業費の返還を求める住民訴訟に踏み切った。同年3月には、担当職員を公文書偽造などで刑事告発。原告男性は「行政の余りのずさんさに危機感を覚えた。市民が立ち上がらなければならなかった」と当時の心境を語る。

市長支持派からも疑問の声

 民事訴訟では市民側が敗訴した一方、刑事告発では担当職員が有罪になるなど、行政の責任が問われる結果が示された。市民らが今年7月に開いた報告会で、住民側代理人は「違法な行政は許さないという活動を続けてほしい。訴訟ではその基盤ができた」と振り返った。

 長濱政治副市長は4日の議案質疑の答弁で「市民らが報告会で市の行為を不正と主張したことが提訴の契機になった」と説明した。ただ、市長支持派からも「市政に批判的な市民の活動を止めたいというのが本音」との疑問が出ている。

 住民訴訟で住民側の代理人を務めた喜多自然弁護士は「住民訴訟の結果を市民に報告するのは当然」と強調。市の提訴方針について「住民運動を威嚇するための『スラップ訴訟』だ」と批判した。