沖縄県の宮古島市が住民に名誉を傷つけられたとして損害賠償を求める訴訟を起こす議案を審議中の市議会総務財政委員会は11日、採決を延期した。傍聴した市民からは「市長支持の与党市議にも迷いがあるのではないか」「議会は否決すべきだ」との声が上がった。

市民提訴の議案採決を見送った宮古島市議会総務財政委員会の委員ら=11日、宮古島市役所

 清水早子さん(70)は採決延期に「与党市議の中にも訴訟に疑問を持つ人がいて、市長の顔色と市民や報道の批判をてんびんにかけているのではないか」と推測した。過去に陸上自衛隊配備に反対する市民団体の要請で、市が全員の名前と住所の提出を求める市長名の行政文書を送り、問題になった事案を挙げ「今回の訴訟も行政の長としてやってはいけないこと。市民をどう喝するためで、議会は当然、議案を否決すべきだ」と強調した。

 「市が市民を提訴するとの新聞報道を見て目を疑った」と語るのは仲里成繁さん(65)。市役所に提訴の経緯を問い合わせたが、「提訴は庁議で決まった。部長が不在でこれ以上対応できないと言うだけだった」と不満を口にする。提訴の本当の目的は市民運動の萎縮を狙ったものではないかとし「絶対に許されない」と語った。

 60代女性は「(住民訴訟での住民側の)弁護士の発言を理由に市民を訴えるというむちゃくちゃな理屈に驚いた」。市民に圧力をかけるためのスラップ訴訟だとし「市民運動に対する報復だ」と切り捨てた。

 議案書の不備も指摘され、無理やりつじつまを合わせて作ったのではないかと疑う。「提訴の理由が理屈に合わないと市職員も感じているはず。議案を審議する議員の判断が問われる」とくぎを刺した。