出張の合間に、浅草演芸ホールへ行った。真ん中に置かれた座布団の上で、いろんな落語家さんが代わる代わる、たくさんの物語を聞かせてくれた。彼らが語る物語は、なんだかとっても優しい。毎日を一生懸命生きる人々のちょっとした出来事を、温かい温度で面白おかしく、情感豊かに聞かせてくれる。

「巴里祭」

 小津安二郎やチャップリンに影響を与えたと言われる、フランスの名匠ルネ・クレールの描いた世界は、落語と似ている。パリを舞台にしているけれど、映画の登場人物たちの暮らすパリは、凱旋(がいせん)門やシャンゼリゼ通りや、エルメス、のような雰囲気は皆無。決して裕福とはいえないパリの下町で、寝て起きて食べて。働いて歌って恋をして傷ついて。慌ただしい日常に振り回されながら、互いにそっと支え合う、いとおしい人々の姿が、生き生きと描かれる。(桜坂劇場・下地久美子)

同劇場であすから上映予定