社説

社説[小泉氏「育休検討」]空気変えるきっかけに

2019年9月14日 08:45

 ニュージーランド議会で、男性議長が別の男性議員の赤ちゃんにミルクを与えながら議事を進行するニュースに接した後だっただけに、「日本って古い」との言葉にこくりとうなずいた。

 この夏結婚し、年明けに第1子が誕生する予定の小泉進次郎環境相が、育児休業取得の検討を表明したことを巡って議論が巻き起こっている。「日本って堅い、古い」との言葉は、賛否両論噴出の騒ぎに対し発したものである。

 育休は労働者が事業主に申し出ることにより取得できる制度だ。原則、子どもが1歳になるまでで、休業中は最初の半年が賃金の67%、以降は50%が雇用保険から支給される。ただし国会議員は個人事業主などと同様に制度の対象外。そのため休暇をとった場合も歳費は満額支給される。

 厚生労働省の2018年度調査によると、女性の取得率は82・2%と高い水準にあるものの、男性は6・16%と低迷している。

 小泉氏の育休取得に理解を示す人たちは「トップが休むことで意識を変えてほしい」「男性の育休を広めていく問題提起になる」と発信力に期待を寄せる。

 異議を唱える人たちからは「大臣の職責は重い」「一般の労働者が取れば所得が減るのに不公平」といった声がもれる。

 相反する受け止めのように見えるが、映し出されるのは育休を希望する男性の増加と、取りづらい現状への不満や家計への影響を心配する声だ。誰もが取得しやすい環境整備という課題が浮かび上がる。

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 厚労省が実施した男性の育休取得に関する調査で、取得しなかった理由を複数回答で尋ねたところ「職場の人手不足」「制度がない」「取得しづらい社内の雰囲気」が上位を占めた。

 育休を推奨している会社でも、実際に取ろうとすると冷ややかな視線を向けられるなど、子育てに不寛容な企業風土はなかなか変わらない。

 6月上旬、「夫が育休明けに転勤を内示され、退職せざるを得なかった」というツイッターの投稿が反響を呼んだ。育休を取ったら配置転換された、人事評価が著しく下がったなど会社から不利益な扱いを受けたと訴えるケースが相次いでいる。

 男性は仕事優先という性別役割分担の考えが背景にあるのだろう。男性の育休を妨げる「パタニティーハラスメント」は放っておけない問題だ。

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 ニュージーランドでは昨年、アーダン首相が6週間の産休を取り話題となった。その間は副首相が首相代行を務めた。

 代替要員の確保など「この人でなければ」という組織の在り方を変えていくことは、子育てに限らず介護や病気治療などワークライフバランス実現の上からも重要である。

 政府が6月に策定した「骨太方針」には、女性活躍の項目の中に男性の育休取得促進が盛り込まれている。

 小泉環境相には具体的な行動を通して、社会の空気を変える旗振り役になってほしい。

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