白いひげを蓄え、数え75歳とみられるが、広い肩幅は鍛えた体をうかがわせる。近代空手の原型を築いた糸洲安恒(あんこう)(1831~1915年)と推定される写真が発見された。沖縄空手会館で来年3月まで開催中の企画展で見ることができる

▼これまで糸洲とされた写真は、今年3月、関係者から別人と指摘があり、世界的に衝撃が広がった。曲折を経て大家の実像に近づいた

▼1879年の「琉球処分」後、伝統的な沖縄文化の多くが衰退。その中、糸洲は時代に合わせて知恵を絞り、弟子の花城長茂(ちょうも)らと学校での空手教育に尽力した。結果、学校を中心に県内各地へ広がりを見せた

▼直接指導を受けた1人は「小柄のがっちりした体の持ち主で温厚篤実な君子人」と記している。その体の中は、受け継いだ伝統をどう伝えるかという思いで満ちていたのではないか。「唐手(空手)十ヶ条」をしたため、心得も説いた

▼空手は現在、世界中に愛好家が約1億3千万人いるという。2020年の東京五輪では正式種目となり、県勢の活躍も期待される。沖縄空手のユネスコ無形文化遺産登録に向けた動きも出てきた。糸洲がまいた種は大きく育っている

▼困難な状況下でも道を探り、今へとつなげた先人がいた。沖縄は空手発祥の地。誇りを胸に、新たな時代へと伝統をつなげていきたい。(内間健)