全国の100歳以上の高齢者が過去最多の7万1238人となったと、厚生労働省が発表した。

 調査が始まった1963年は153人とほんの一握りだった。それが98年に1万人、2012年に5万人を超え、今回初めて7万人を突破した。10年後には18万人に達する見込みという。

 医療技術の進歩に加え、健康増進の取り組みなどにより超高齢社会は急速に進んだ。「人生100年時代」は決して大げさなスローガンではない。

 年金、介護など高齢者を取り巻く課題は少なくないが、仕事や子育てが一段落した後の長い老後は、無限の可能性につながる時間でもある。

 この春、101歳で亡くなった生活評論家の吉沢久子さんは、老いの特権を「時間もち」という言葉で表現していた。

 夫と死別した後、66歳から1人暮らしを始めた吉沢さんは自著『楽しく百歳、元気のコツ』の中でこう記している。

 「私は年をとって初めて、夕日の美しさに気づきました。真っ赤な夕日が刻々と色を変えていく様子を心ゆくまで楽しむ。一人になるまで、そんな余裕はありませんでした」「自由と孤独は紙一重で、自分をどちら側に置くのかは、自分自身にかかっています」

 執筆活動や講演などむしろ晩年に仕事の幅が広がったのは、「時間もち」になったからこそ味わえる豊かな老いを生きたからだろう。

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 本紙「地域面」で毎週木曜日に掲載する「ハマってます!」は、趣味やボランティアに生きがいを見つけ、はつらつと暮らす高齢者を紹介するコーナーだ。04年にスタートし、720回を超える長寿企画である。

 小中学校で絵本の読み聞かせを続ける77歳の女性は「子どもたちのキラキラとした瞳」が励みになると話す。

 トレッキングに夢中という72歳の男性は「同じ山でも季節やコースによって表情が変わる」と奥深さを語る。

 以前に比べて目立つのはインターネットを使い情報を発信したり、趣味に生かしたりするお年寄りの姿だ。

 19年版高齢社会白書によると、ネット利用率は60~69歳が73・9%、70~79歳が46・7%と増加している。

 ネットやスマホを上手に操る「デジタルシニア」の増大は、新たな縁の構築など、これまでとは違った老いを創造する力を秘めている。

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 きょうは「敬老の日」。

 高齢期の特徴は体力や気力などの個人差が大きいことで、定年後、趣味を満喫している人もいれば、支援を必要としている人も少なくない。

 今年の地域再生大賞の準大賞に輝いた「いけま福祉支援センター」は、池間島で高齢者の居場所づくりなどに取り組む団体だ。子どもが島外に出ても住み慣れた島で暮らし続けたいという思いをくみ、介護事業所を立ち上げるなど課題に向き合っている。

 人生100年時代を地域でどう支えていくか。「長寿社会」をブラッシュアップしていく必要がある。