タイムス×クロス 平安名純代の想い風

「同じ立場だと思っていたのに…」グアムから見た沖縄 デニー知事の姿勢が波紋

2019年9月24日 05:32

[平安名純代の想い風]

玉城デニー知事

30日、米領グアムで面会した沖縄県の玉城デニー知事(右)とグアムのレオンゲレロ知事

玉城デニー知事 30日、米領グアムで面会した沖縄県の玉城デニー知事(右)とグアムのレオンゲレロ知事

 玉城デニー知事の8月末の訪問を伝えるグアム地元紙の報道に接した、複数の友人・知人から問い合わせを受けた。米団体幹部や連邦議員、運動家と立場は違うが、いずれも沖縄とグアムの闘いを支援する彼らは「沖縄県知事は、米海兵隊のグアム移転を支持しているのか」と不快感をあらわにした。

 テニアンやグアムの米軍基地を視察した玉城知事が、移転推進派のグアム知事との会談で協力を表明し、米軍幹部やグアム知事と笑顔で並ぶ写真が添えられた報道は、「大国から抑圧されているグアムと同じ立場だと思っていた沖縄は、日米両政府と同じ視点なのだろうか」との疑問をもたらしたようだ。

 沖縄本島の半分にも満たない面積のグアムの人口は約16万7千人(2018年7月時点)。約37%は先住民族のチャモロ人で、次いでフィリピン系約26%、白人は7%。スペイン、アメリカ、日本の占領を経て、現在は米国が統治する。

 米国は、米空軍嘉手納基地の4倍もの大きさのアンダーセン基地や軍港、弾薬庫などの基地施設をグアムに配備し、B29などの爆撃機が戦地へ出撃する最前線基地という役割は、昔も今も変わらない。

 一方、連邦議会で一議席を持つ下院議員は本会議での投票権を持たず、グアムの人々には大統領選挙の投票権も認められていない。貧困に悩むグアムは米軍と密接な関わりを持つが、日米両政府の06年の移転計画の発表以来、反対運動が台頭した。

 チャモロ人の聖地に実弾射撃場を建設する計画を巡っては、住民らが米軍相手に訴訟を起こし、環境影響評価をやり直させ、建設予定地を変更させるなど米軍を窮地に追い込んだ。

 こうした住民の力が事態を突き動かし、11年5月、当時の米上院軍事委員会のレビン、マケイン正副委員長らが米軍再編計画の見直しを唱え、日米両政府は翌12年に米軍再編見直し合意を発表した。

 政府に抑圧される沖縄とグアムは共通点も多い。

 法定拘束力はなくとも、名護市辺野古の新基地建設に反対する意思表示をしようと、沖縄は2月に県民投票を実施したが、グアムでもチャモロ人は自己決定権を求める取り組みを続けている。

 米連邦議会で現在、審議が大詰めを迎えている米国防権限法案の上院案に、地元の支持があるかどうかについて再検証を求める条項が盛り込まれた背景には、こうしたグアムの動向が深く反映しているのである。

 在沖米海兵隊のグアム移転は、当地では「ビルドアップ(増強)」と表現されている。沖縄にとっての「負担軽減」は、海兵隊がやってくるグアムにしてみれば「負担の増強」だ。「負担」を強いているのは、望まれない土地に米軍基地を置き続ける米国なのだ。

 政府の抑圧と闘う私たち沖縄は、負担を押し付ける側に回ることがあってはならない。

 沖縄とグアムに共通する問題を解決するためにも、私たちは住民の視点から物事の本質を理解し、手をつなぎあう必要があるのではないか。(平安名純代・米国特約記者)

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