社説

社説 [玉城知事が意見陳述 ]地方自治のあり方問う

2019年9月19日 08:28

 「国が一方的に地方公共団体の決定を覆す手法が認められれば、真の地方自治は保障されない」

 玉城デニー知事が18日、知事選と県民投票で示された辺野古新基地に反対する圧倒的民意を後ろ盾に、就任後初めて法廷に立った。

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が県の埋め立て承認撤回を取り消した裁決を「国の違法な関与」として、県が国を相手に提起した訴訟の第1回口頭弁論が福岡高裁那覇支部で開かれた。

 県の主張は一貫している。国の機関である防衛省沖縄防衛局が一般国民の権利救済を目的とする行政不服審査法を使い国交相に審査を申し立てるのは違法、新基地建設推進の安倍内閣を構成する防衛局の申し立てを国交相が審査するのは身内同士の判断であり不公正であることだ。

 県は国交相と防衛相の関係を「アンパイアとプレーヤーが一緒」と例える。

 玉城知事は約13分の陳述の中で「地方自治」という言葉を何度も繰り返した。問うたのは、憲法が保障する地方自治の原則である。地方自治法改正を受けた「上下・主従」から「対等・協力」の関係となる流れの中で、国の強引な法解釈が許されるなら、その影響は全国にも広がる。

 県は、埋め立て承認を取り消した国交相の裁決は不服とした「抗告訴訟」も那覇地裁に提起、新基地を巡り二つの訴訟が平行して進む。それ以前の国と県との六つの裁判では、敗訴や取り下げなど県側に厳しい結果となっている。

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 「国の関与」取り消し訴訟は、この日で結審。県側は証人申請を求めたが、裁判所は認めず、10月23日に判決が言い渡されることになった。

 国の違法性など踏み込んだ判断を示すかは不透明だ。国地方係争処理委員会の判断と同じように、入り口論で退ける可能性がある。

 国の私人へのなりすましや国交相の「関与」は、多くの行政法学者が、「国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を濫用(らんよう)するもの」と厳しく批判している。

 県は2016年2月にも、埋め立て承認取り消しの効力を止めた国交相決定を巡って提訴。その後に国と和解したため、結論は出ていない。

 玉城知事は「違法な国の関与に裁判所がお墨付きを与えることになれば、地方自治のみならず法治国家に未来はない」と訴えた。司法には審理を尽くし、沖縄の民意や地方自治のあり方にも向き合ってほしい。

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 「真珠のような美しい大浦湾を埋め立てれば、観光資源、産業振興資源を永久に失う」

 裁判の事前集会では、雨の中、足を運んだ参加者から、なし崩し的に進められる工事に強い危機感が示された。

 新基地建設を巡っては問題があまりに多い。工期や総事業費がいまだ明らかにされず、軟弱地盤改良や活断層の問題が横たわる。米国では適用される建物の高さ制限への抵触も放置されたままだ。

 玉城知事はこの日も政府に対し対話による解決の必要性と重要性を訴えた。政府に解決を促すのも司法の役割だ。

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