喜劇の女王、仲田幸子が率いる劇団でいご座の最終公演が16日、沖縄市民会館で開かれ、会場を埋め尽くした1500人余の観客が現代歌劇・沖縄版「寛一お宮」、お笑い劇「床屋の福ちゃん」の舞台に心から笑い、惜しみない拍手を送った。(学芸部・天久仁、写真部・国吉聡志)

「寛一お宮」で熱演する仲田幸子=16日、沖縄市民会館

「寛一お宮」で母親役を演じる仲田幸子。さりげない一言で観客を引き込む

公演終了後、マイクを握って観客に感謝の言葉を贈る

リハーサル前に飲み物を受け取る。張り詰めた楽屋の雰囲気が和んだ

リハーサルに臨む孫の仲田まさえ(左)を見守る幸子。厳しい指摘の裏で役者を気遣う優しさが垣間見えた

床屋の福ちゃん」の男性客役をコミカルに演じる仲田幸子(中央)

公演約1時間前に開場。多くの来場客が列を作った

「寛一お宮」で熱演する仲田幸子=16日、沖縄市民会館 「寛一お宮」で母親役を演じる仲田幸子。さりげない一言で観客を引き込む 公演終了後、マイクを握って観客に感謝の言葉を贈る リハーサル前に飲み物を受け取る。張り詰めた楽屋の雰囲気が和んだ リハーサルに臨む孫の仲田まさえ(左)を見守る幸子。厳しい指摘の裏で役者を気遣う優しさが垣間見えた 床屋の福ちゃん」の男性客役をコミカルに演じる仲田幸子(中央) 公演約1時間前に開場。多くの来場客が列を作った

 芸歴72年、現在86歳の仲田が24歳のころ旗揚げした同劇団。「くんじゃん(国頭)の先から島尻の先。地球の裏側までお芝居に行きました」と話すように、「サチコー芸」を発信する場として、県民に愛されてきた。

 座長として劇団を切り盛りしながら、お抱えの役者を大切に育ててきた仲田。自ら演じながら、台本がなくせりふを口頭で伝える「口立て」の方式で、自身の喜劇の芸風を継承してきた。

 いったん舞台に上がると、軽快な身のこなし、アドリブで放たれる毒の効いたせりふで観客を魅了する。「舞台は命。これやらなかったら、重大責任だよ」と舞台の責任者としての重責を背負ってきた。

 最後の大舞台は「足が折れても出ると約束した」と覚悟を持って臨んだ。

 割れんばかりの拍手に迎えられたカーテンコールで「歴史に残る72年の芸歴。ごひいきくださいまして誠にありがとうございました」とあいさつし、舞台を後にした。

<最終公演 共演者の声>

■丁寧に教えてもらった 上間基

 約15年にわたって、一緒に大舞台を踏ませてもらった。クンチ(元気)がある大きな声で怒られ、褒められたことは思い出。丁寧に芝居を教えてもらい愛情があった。ホールにこれほど多くのお客さんを入れる役者はいない。

■客席の熱気感じられた 仲田まさえ

 物心ついたころから、おばあちゃんと舞台に立たせてもらった。舞台の怖さや楽しさ、お客さんの熱気を体で感じることができたのはおばあちゃんのおかげ。だから今は、すごく寂しく思う。

■楽しい思い出たくさん 仲田和子

 (劇団でいご座としての公演を終えることに)寂しいけれど、これは(座長である)お母さんが決めたこと。多くのお客さんが見ている舞台で失敗したこともあったけど、楽しかった思い出もたくさん残っている。

■公演なくなり寂しい 仲田明美

 演目や配役を決め、演技指導して劇団の運営まで座長が一人でやってきた。頭の中に入っている台本を役者に口で伝える仕事は、ただごとではない。劇団でいご座として大きな舞台での公演がなくなるのはやっぱり寂しい。