幸せを呼ぶといわれる四つ葉のクローバー。そんな四つ葉や、珍しい五つ葉、六つ葉計494枚を、4カ月間で集めた男性がいる。強い目まいを起こすメニエール病や皮膚が赤く盛り上がり出血を伴う重度の皮膚乾癬(かんせん)、うつ病など、複数の病を抱える上江洲築(きずく)さん(65)=那覇市。「何のために生きているのか」と悲観的だった上江洲さんに、クローバーは不思議な変化を運んできたという。(社会部・國吉美香)

六つ葉のクローバーと、直径13センチの四つ葉のクローバーを持つ上江洲築さん。感染症予防のためにマスクが欠かせない=那覇市の自宅

上江洲築さんが見つけた六つ葉のクローバー

六つ葉のクローバーと、直径13センチの四つ葉のクローバーを持つ上江洲築さん。感染症予防のためにマスクが欠かせない=那覇市の自宅 上江洲築さんが見つけた六つ葉のクローバー

 上江洲さんは1953年生まれ。美容師として上京したが、人間関係につまづき34歳で沖縄に戻った。手先の器用さを生かし、独学で銀細工や木工細工を学んで露店で作品を披露すると、最初は1年に1回売れる程度だったが、精巧な作品に評価が集まり固定客ができるようになった。県内の手芸コンテストで優勝し、40代で一時の年収は1600万円。那覇の国際通り近くに一戸建ての工房を持ち、5人の弟子も持った。

 大きく状況が変わったのは、2008年のリーマンショック後だ。作品を全て買い取っていた販売店はつぶれ、あっという間に財産はなくなった。

 すでに60歳も目前。物作り以外の職をできる気はしなかった。だがいくら作っても作品が全く売れない日々の中、うつを発症。続けざまに皮膚乾癬、関節症性乾癬、メニエール病を患った。

 皮膚乾癬は腫れた皮膚がめくり上がり出血するため、寝返りも打てない。朝起きて血に染まったベッドシーツを見つめながら「なぜ生きているのか」と自問した。1年で10回手術を受けたこともある。「自分が人に役立つのは臓器を提供するくらいでは」と、大量の薬を飲んで119番通報したこともあった。

 病院通いを続けていた今年5月、ふと「四つ葉のクローバーでも見つければ、病気が治らないか」と思いついた。その日、ハート形の葉が四つ付いたクローバーを見つけた。

 うれしくて、毎日病院通いの間にクローバーを探し歩くようになった。那覇空港近くの道ばた、与儀公園、新都心の街中-。「ここではないか」と勘を頼りに、大量のクローバーを見つけた日もある。

 しばらくして、上江洲さんの体質と相性の良い薬が見つかったと病院から連絡が入った。いまだ外出時に感染症予防のマスクは欠かせないが、投薬後、症状は劇的に落ち着き皮膚の出血が治まるようになった。

 「もしかして、クローバーのおかげかも」。言い伝えを信用するタイプではないが、そう感じている。

 集めたクローバーは、那覇市内の薬局に託した。「小さくでも飾ってもらい、少しでも見た人の人生が良い方に向かったら」と、願いを込める。