エンドロールを眺めながら、すがすがしい感動を覚えた。桜坂劇場で上映中の映画「風をつかまえた少年」を見た。アフリカ・マラウイであった実話に基づいた作品だ

▼マラウイはアフリカの最貧国の一つ。主人公の少年一家は主食のトウモロコシなどを育てて暮らしていたが、2001年に洪水や干ばつが続き、国は飢餓に襲われた。学費も払えず、14歳の少年は中学に通えなくなる。少年の心情を思うと切ない

▼貧しさの中で少年は、図書館で出合った本を基に風車を手作りし、風力発電することで村を干ばつから救おうとする。当時、電気の普及率が2%だった国。仲間を説得し工夫を重ねるが、父親の理解が得られない。そんな時でも、家族や村を思い続ける少年の気持ちが見る者の心を打つ

▼映画の根底にあるのは、人は何のために学ぶのかということ。知識は希望の光をもたらしてくれた

▼原作は23カ国に翻訳されたベストセラー。その著者で実際の少年当人であるウィリアム・カムクワンバさん(32)は映画公開を機に来日。東京の小学校での特別授業で「自分を信じて集中すれば何でも達成できる」と語った。現在は、若者の夢を応援する施設の建設に向け取り組んでいるという

▼学ぶことの尊さ。どんな時もあきらめず、挑戦を続ける姿勢。いくつもの大切なことが詰まった映画だ。(内間健)