軽減税率の仕組みは難解で、ポイント還元制度の理解も進んでいない。もとよりクレジットカードを使う人が少ない高齢層には還元の恩恵が薄く、身近な商品の値上げラッシュが家計を直撃する。暮らしへの影響が心配だ。

 消費税率が8%から10%に上がるまで、1週間ちょっととなった。

 平成が始まった1989年に税率3%で導入されて以来、5%、8%と段階的に引き上げられ、今回で3度目の税率アップとなる。2桁の負担はずしりと重い。

 「痛税感」を和らげようと増税に合わせて新たに適用されるのが軽減税率だ。飲食料品や定期購読の新聞で税率が8%に据え置かれる。ただ8%と10%の商品の線引きが複雑で、消費者の混乱を招いている。

 レストランなど店内で食べれば10%で持ち帰れば8%▽ビールは10%でノンアルコールビールは8%▽かき氷に使われる氷は8%で保冷用の氷は10%-。国税庁のホームページに掲載されている個別事例ごとのQ&Aは7章121問にも及ぶ。

 制度の複雑さはポイント還元も同じだ。

 カードやQRコードなどを使ったキャッシュレス決済を対象に、中小店では代金の5%、コンビニなどでは2%分が政府の補助で還元される仕組みである。

 軽減税率とポイント還元によって実際に負担する税率は、3、5、6、8、10%に分かれ、負担に差が生じることになるのだ。

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 人手不足による人件費などの高騰から、春以降、食品や飲料の値上げが相次いでいる。

 加えて10月からは、公共料金や携帯電話料金、公共交通機関などで増税分を転嫁した値上げが実施される見込みだ。県内でも電気や路線バス、離島航路などの値上げが発表されている。

 消費税は低所得者に負担感の大きい「逆進性」の高い税である。値上げと増税の二重負担が家計を大きく圧迫するのは間違いない。

 家計支援を目的に低所得の高齢者に月最大5千円を支給する「年金生活者支援給付金」がスタートするものの、初回支給は12月にズレ込む。しかも給付金は自ら手続きしないともらえない仕組みだ。

 対象者は約970万人に上り、「情報弱者」も少なくない。自治体には周知の徹底を、高齢者と接することの多い関係者には、いま一度声掛けをお願いしたい。

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 混乱や準備不足の原因はどこにあるのか。

 中小店で複数の税率に対応するレジ更新が遅れているのは、安倍晋三首相の側近が増税先送りに言及するなど、政権内で延期論がくすぶり続けたからだという。安倍氏が過去に2度、増税を延期したことも関係している。

 内閣府の直近の消費動向調査で消費者態度指数は11カ月連続して悪化している。消費税増税が心理を冷やす要因になっているようだ。

 増税が県経済へ与える影響も注視していかなければならない。