熱帯、亜熱帯地域に分布するカイコの一種「エリ蚕(野蚕(やさん))」を養蚕する沖縄UKAMI養蚕(今帰仁村、仲宗根豊一代表)が、漢方薬などで知られる「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」の商品化に向けた研究を進めている。同社は2015年、エリ蚕の蛹さなぎを宿主とした冬虫夏草の栽培に国内で初めて成功。その後の東京薬科大学との共同研究で、この冬虫夏草に男性ホルモンを体内で維持する機能があることが発見され、現在特許を申請している。今後、安全性なども確認し、機能性表示食品の原料として売り出していく考えだ。(政経部・島袋晋作)

エリ蚕の幼虫。キャッサバの葉を食べて大きくなり、繭を作って蛹となる。(沖縄UKAMI養蚕提供)

エリ蚕に寄生して育った冬虫夏草。うるま市の沖縄ライフサイエンス研究センター内にある沖縄UKAMI養蚕のラボで量産の研究が進められている

エリ蚕の幼虫。キャッサバの葉を食べて大きくなり、繭を作って蛹となる。(沖縄UKAMI養蚕提供) エリ蚕に寄生して育った冬虫夏草。うるま市の沖縄ライフサイエンス研究センター内にある沖縄UKAMI養蚕のラボで量産の研究が進められている

 冬虫夏草はガの幼虫などに寄生する菌類で、自然下では冬の間、幼虫に寄生して「冬眠」、虫の形のままだが、春から夏にかけて寄生主を殺し「草」(キノコ)となって成長する。日本や中国では漢方薬として珍重される。

 同社は沖縄がエリ蚕の養蚕に適している環境優位性に着目し、2013年からエリ蚕を育てている。一般的なカイコ(家蚕(かさん))と比べて体長が大きく、世代交代が多いのが特長だ。同社は年10回の安定的な養蚕システムを構築。取れた繭まゆからシルクパウダーやシルクスポンジなどのスキンケア商品を製造、販売している。

 必須アミノ酸を含み、水分や油分、臭気の吸収性にも優れた機能性を有している。近年は繭だけでなく、蛹も資源として活用できないかと研究を進め、エリ蚕の蛹にサナギダケ菌(キノコの菌の一種)を接種し、冬虫夏草を栽培することに成功した。

 東京薬科大学との共同研究では、エリ蚕から取れる冬虫夏草から抽出したエキスに、男性ホルモンを体内で維持する機能が見つかったという。男性ホルモンは体内で代謝されて活性を失っていくものであるため、仲宗根代表はこの新たな機能性が男性更年期障害の症状緩和に役立つのではないかと注目している。

 また、ラットを使った同研究では、前立腺重量の増加を抑制する効果や体重の増加を抑制する効果も示唆されたといい、今後は前立腺肥大やダイエットに対する機能性表示食品の原料としても展開できないかと考えている。

 現在、「UKAMI琉球夏草」の商標登録も申請中。機能性やその科学的根拠も併せて売り込むことで、医薬品メーカーらに対する優位性を確保する狙いがあり、2023年には2億円以上の売り上げを目指している。

 仲宗根代表は「すでに大手製薬会社、化粧品メーカーなどからの引き合いもある。来年度以降、生産体制を確立し、付加価値を付けて売り出せる体制を整えたい」と語った。