観光地の多様性が失われている

 と聞くと、「日本の観光はそんなに韓国に依存していない」とムキになる人も多いかもしれないが、事実として韓国人観光客がいないと商売上がったりというエリアがある。九州だ。

 「福岡県観光の現状と課題」(2018年7月13日)によれば、平成29年度に福岡を訪れた外国人観光客の中で、韓国人観光客は52%と過半数を占めており、中国人観光客は6%、欧米豪からの観光客は2%しかいない。日本全体で同時期の韓国人観光客は25%、中国人観光客が19%、欧米豪も13%という割合を考えると、異常ともいうべき「韓国一本足打法」になってしまっているのだ。

 「もともと九州と韓国は歴史的にもつながりが深いのだからそうなるのもしょうがない」というお叱りが飛んできそうだが、韓国人観光客がたくさん来ることが悪いと言っているわけではない。"韓国人観光客しか来ていない"ことが問題だと申し上げているのだ。その理由は以下の3つである。

(1)観光地としての多様性が失われる

(2)観光収入が減っていく

(3)観光と政治が混同される

 まず(1)から説明しよう。韓国人観光客ばかりが押し寄せる観光地では当然、韓国人が喜びそうな観光資源、韓国人が好むサービスから優先的に整備されていく。その代表が、長崎県対馬市だ。

 ご存じのようにかの地は、釜山からフェリーで1時間強ほどというロケーションから、韓国人からは「日帰りできる海外」として人気を博しているのだが、島内に点在する元寇の遺跡などはお世辞にも整備されているとは言い難い。対馬を訪れる韓国人の多くは、登山や釣りなどのアクティビティのほか、韓国資本のショッピングセンターなどで免税ショッピングを楽しむことが定番コースだからだ。

 つまり、韓国人観光客というマジョリティーに合わせた開発が行われるあまり、対馬という観光地の多様性が失われてしまっているのだ。