社説

社説[オスプレイ墜落 書類送検]米軍に国内法適用せよ

2019年9月25日 10:30

 日米地位協定によって捜査権が侵害される。主権国家といえるのだろうか。

 米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイが2016年12月に名護市安部沿岸部に墜落し大破した事故で、中城海上保安部は24日、航空危険行為処罰法違反容疑で、事故機の機長を被疑者不詳のまま那覇地検に書類送検した。

 機長は空中給油訓練中に、業務上の注意を怠り、給油機の装置とオスプレイのプロペラを接触させ、破損。沿岸部に墜落させ、機体を大破させた。

 海保は事故直後から、人物特定などの捜査協力を米軍当局に要請していた。米側は要請を無視し、回答はこれまでなかった。

 当時、米軍の規制に阻まれ、現場の海域に近づくこともできず、立ち入りできたのは、米軍が「物証」の機体や残骸の回収後。事情聴取もできないまま、捜査は難航。時効成立は12月に迫っていた。

 同型機は事故と同じ日に米軍普天間飛行場では胴体着陸していた。だが、事故原因が究明されないまま、わずか6日で飛行を再開。3週間余り後に事故を発生させた空中給油訓練を再開している。

 県民を愚弄(ぐろう)するかのような訓練強行を日本政府は追認した。

 被疑者は米兵であるのは間違いない。米軍の報告書によると、「困難な気象条件下で、空中給油訓練を行ったパイロットの操縦ミス」と原因も分かっている。にもかかわらず、被疑者の人物特定などの米側の捜査協力を得られず、うやむやのまま、捜査が終結することに納得できるはずがない。

    ■    ■

 これまでも同じようなことが繰り返されてきた。

 04年8月に沖縄国際大で起きた普天間飛行場所属の大型ヘリコプターが墜落した事故でも、米側から米兵の氏名の通知を拒否された。その結果、県警は同法違反容疑で整備兵4人を被疑者不詳のまま書類送検。那覇地検は不起訴処分にした。

 沖国大ヘリ墜落事故では米軍が一方的に規制線を張って現場を封鎖し、県警の現場検証や消防の火災原因調査を拒んだ。地位協定とその合意議事録で、基地外でも米軍の財産の捜索や検証は同意なしにはできないとされているためだ。

 17年10月の東村高江の民有地に大型輸送ヘリが不時着炎上した事故も、県警の現場立ち入りは認められず、米軍が機体や土壌を回収した。

    ■    ■

 第2次世界大戦の敗戦国であるドイツとイタリアの地位協定では、米軍の訓練に国内法が適用されている。

 日米政府は国内の米軍機事故に関するガイドラインを改定し、警察や消防の規制区域内立ち入りで「迅速かつ早期の立ち入り」を可能とすると追記した。迅速な現場立ち入りといっても「相互の同意に基づく」という言葉は残り、米側の同意がなければできないことは変わりない。

 全国知事会も米軍に航空法などの国内法を適用することを要請している。小手先の運用改善では事態は変わらない。抜本改定が急務だ。

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