「私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」

 スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)が「気候行動サミット」で語った言葉は辛辣(しんらつ)だが切実で、ズシリと響いた。未来を守ろうとの声に応えるためにも、大人は行動しなければならない。

 グレタさんは昨夏から週1回、学校の授業をボイコットし、ストックホルムの議会前で温暖化対策を訴える座り込みを続けている。

 この日、ニューヨークの国連本部で各国指導者を前にした演説は、政治の無策、大人の無関心を痛烈に批判するものだった。

 「あなたたちが私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。逃がさない」

 サミットでは、77カ国の首脳らが2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを約束した。

 温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」は、今世紀後半に世界の排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指している。1・5度にとどめるには50年ごろに世界で排出を実質ゼロにする必要がある。

 気候変動による影響を長く受けるのは若い世代だ。サミット直前、若者らが温暖化対策を訴えた一斉デモには150カ国以上で数百万人が参加した。

 グレタさんが「あなたたちの裏切り行為に気付き始めた」と怒りで声を震わせたように、危機感も取り組みもまだ足りない。

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 日本は安倍晋三首相ではなく初外遊の小泉進次郎環境相が出席した。「日本の取り組みがよく理解されていない。積極的に発信する」と意気込んで乗り込んだが、「50年排出ゼロ」を掲げる77カ国には加わらず、演説の機会も与えられなかった。

 パリ協定離脱を表明した世界第2位の排出国である米国、同1位の中国などとともに遅れは鮮明だ。

 日本の温暖化対策の長期戦略は「今世紀後半のできるだけ早期に温室効果ガスの排出をゼロにする」。欧州連合などに比べて大きく見劣りしている。

 二酸化炭素を膨大に排出する石炭火力発電の利用も堅持しており、新たに建設中の発電所も多い。

 世界の潮流に逆行したまま「積極的」と言っても、国際的信用は得られない。

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 地球温暖化が進むと今世紀末に海面が1メートル強上昇するとの報告書を、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した。高潮や巨大台風などの災害リスクが増すと警告している。

 多くの犠牲者を出した昨年の西日本豪雨も温暖化の影響で雨量が増えたためと分析されるなど、地球規模で関連が指摘される異常気象が続いている。

 グレタさんの言葉を借りれば「家が火事になっているのと同じように行動してほしい」だ。

 再生可能エネルギーの推進をはじめとする大胆な政策転換を求める。