【うるま】うるま市の漫画家、伊佐義勇さん(40)が漫画版「知ってはいけない-隠された日本支配の構造-」(講談社)を刊行した。2017年に同社が出版した矢部宏治さんの同名ノンフィクションを漫画化、米軍に従属する日本政府の実態を描く。原作に衝撃を受け、沖縄の基地を学び直した伊佐さんは「基地問題に深く関わる話。沖縄の人にぜひ読んでほしい」と話す。(中部報道部・宮城一彰)

漫画版「知ってはいけない」の一場面

漫画版「知ってはいけない」と原作を手にする伊佐義勇さん=25日、うるま市の自宅

漫画版「知ってはいけない」の一場面 漫画版「知ってはいけない」と原作を手にする伊佐義勇さん=25日、うるま市の自宅

 漫画は、04年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故を目撃した少女が成長し、「実質的な米軍の占領下にある日本政府」の姿を明らかにしていく物語。

 法律よりも日米合同委員会の意思決定を優先する官僚や、その構造の基礎をつくった連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー最高司令官、沖縄を舞台に基地の過重負担も描く。

 伊佐さんは与勝高校卒業後、県出身漫画家なかいま強さんのアシスタントや専門学校職員などを経て、2年前から講談社の古典漫画化企画に携わる。今年2月、「知ってはいけない」の漫画化が持ち上がった際、沖縄在住の伊佐さんに白羽の矢が立ったという。

 伊佐さんは「実は沖縄で生まれ育ったのに米軍基地にあまり関心がなかった」と打ち明ける。だが、原作を読んで「占領時代の力関係が今でも続いているなんて普通じゃない」と衝撃を受けた。周りの友人の多くも知らない現状を危惧し、改めて嘉手納基地や普天間飛行場の周辺を歩いた。住宅地の上を低空飛行する米軍機に騒音。それまでの風景が一変して見えた。

 原作の要素を大事にしながらオリジナリティーを出そうと、編集部と相談して娯楽性を重視した。その方が基地問題に関心の薄い若年層の興味を引くと考えたからだ。原作者も喜んだという。

 伊佐さんは「米軍が日本政府の上に君臨する限り、基地は日本のどこにでも造られる。これまで選挙に行かなかったような若い人たちに読んでもらい、このままでいいのか考えてほしい」と願う。

 「知ってはいけない」は26日に全国発売、1400円(税別)。県内大手書店では30日ごろから店頭に並ぶ予定。

(写図説明)漫画版「知ってはいけない」の一場面

(写図説明)漫画版「知ってはいけない」と原作を手にする伊佐義勇さん=25日、うるま市の自宅