新旧交代するえとの馬とヒツジの顔合わせが、沖縄こどもの国であった(12月30日付本紙)。小柄な与那国馬が新顔のヒツジに「忙しくて、もうまいった」とでも、耳打ちしたか

▼時の知事が、辺野古新基地建設反対の県民の声を聞かず馬耳東風だったことへの反発から始まった昨年は、馬のようなスピード感で、目まぐるしく過ぎ去った

▼2015年は、ヒツジのような、おだやかな年になるだろうか。なかなか厳しそうだ

▼政府は、県民が二つの選挙で示した辺野古反対の思いを封じ込めようとしている。新知事のあいさつ回りを門前払いし、沖縄振興予算減額の方針を示した。馬のように目の前にニンジンをぶら下げて、望む方向に走らせようというのか。ヒツジの皮をかぶったオオカミが、ヒツジの皮をかぶるそぶりさえしなくなった

▼道のりは羊腸(ようちょう)(曲がりくねった険しい道)たるものかもしれないが、選ばれた政治家諸氏は、多岐亡羊(たきぼうよう)(真理が得難いこと、方針が多くて迷うこと)とならないようにしてほしい。繰り返しかみしめて尊重すべきは、県民の声

▼えとのひつじは漢字で「未」。「まだ実現していない、いまだ」の意もある。いまだ、実現されていない「沖縄のことは沖縄で決める」ようにするために、県民のための明るい未来を描く年にしたい。(安里真己)