経営トップに渡った不透明な金品が示すのは、「原子力ムラ」の闇の深さである。

 関西電力の八木誠会長、岩根茂樹社長らが、高浜原発のある福井県高浜町の元助役から、多額の金品を受領していたことが分かった。

 関電の社内調査によると、2011年からの約7年間で20人が受け取った総額は計3億2千万円相当に上る。

 端緒は原発関連工事を請け負う地元の建設会社に対する国税局の税務調査だった。この会社から工事受注に絡む手数料として元助役へ約3億円の資金が流れ、さらに元助役が関電役員らに金品を送っていたことが判明した。

 記者会見で岩根社長は返却を試みるも「強く拒絶されたため一時的に個人の管理下で保管していた」と釈明した。そもそも受け取ること自体が「アウト」である。個人が出せる金額でないことは分かるはずなのに、苦しい言い訳にしか聞こえない。

 関電側は現時点で「儀礼の範囲内以外のものは返却した」とする。ただ税務調査後に返したケースもあり、調査がなければ受け取ったままになっていたものもあったのではないか。

 岩根社長は自身と会長が報酬減の処分を受けたと明らかにした。だが、その他の受領者の肩書や金額、処分の詳細については語らず、報道されるまで約1年、社内調査の結果も公表していなかった。

 説明も足りず、対応も不誠実である。「言語道断」(菅原一秀経済産業相)との批判はその通りだ。

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 それにしても不可解なことが多すぎる。

 元となる資金はどこから出たのか。建設会社ではなく元助役から金品が渡ったのはなぜなのか。原発事業にはどう影響したのか。

 町の顔役として影響力を持っていた元助役は、原発推進の「最大の功労者」とされる人物だった。税務調査に対し「関電にはお世話になっている」と説明したという。

 当該建設会社は、関電の原発関連工事が業務の多くを占め、15~18年に高浜原発や大飯原発の関連工事を少なくとも25億円受注していた。原発工事により売上高を急増させていたのだ。

 経産省は電気事業法に基づき類似事案の有無について関電に報告を命じた。どういう趣旨の資金だったのかを調査するには、第三者の立場で問題に切り込む必要がある。社外の有識者による委員会を設置し、過去にさかのぼって調査し、事実を徹底解明するよう求めたい。

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 結果的に利用者が支払った電気料金を原資とする工事費が「還流」していた構図である。

 関電は八木会長が社長時代に2度にわたる電気料金の値上げを実施。利用者に負担を強いたこの時期に役員らは金品を受領していた。

 「3・11」以降、電力会社への不信は強まっている。今度は不祥事で企業体質に批判の目が向けられている。

 重大な問題であり会社法に抵触する可能性もある。トップの進退を含め、経営責任を明らかにすべきだ。