「僕たちは勝つと信じて用意してきた」。母親が沖縄出身の田村優選手が力を込めた。ラグビー・ワールドカップ(W杯)で、日本が優勝候補のアイルランドを撃破。約4万7千人の観衆で埋まった静岡スタジアム(静岡県袋井市)は、大金星に拍手と歓声がやむことはなかった。

東京・有楽町のファンゾーンでアイルランド戦を観戦し、日本の得点を喜ぶファン=28日午後

 試合前、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが選手たちにこんなメッセージを送っていた。「誰も勝つとは思ってない。信じているのは僕たちだけ」

 その言葉を現実にした瞬間、選手たちは跳び上がり、抱き合った。スタンドは万歳が起きて日の丸も揺れ、緑のジャージーを着たアイルランドのファンも惜しみない拍手を送った。

 相手の突進に、鋭いタックル。二つのトライを奪われ、突き放されかけたが、先発を外れたリーチ・マイケル主将が出場すると、雰囲気が一変した。「ニッポン!」と手拍子を背中に受け、諦めずにボールをつないだ。後半、途中出場の福岡堅樹のトライで逆転すると、ファンはハイタッチで喜んだ。

 高校でラグビー部のマネジャーだった水戸市の会社員磯崎祐子さん(56)は「こんな日が来るなんて。信じられない。このまま決勝まで進んでほしい」とかれた声で喜びをかみしめた。アイルランド出身でロンドンに住むリアム・マクボイさん(29)は「負けて本当に残念だが、良い試合だった。日本が好きになった」と選手をたたえた。

 ゴールを何度も決めた田村選手は試合後、ファンに呼び掛けた。「僕たちができると信じて待っていてください」

 大型ビジョンで観戦できる東京・有楽町のファンゾーンでも、日本の奮闘に大歓声が上がり興奮のるつぼと化した。