大弦小弦

[大弦小弦]引退会見の風景

2019年9月30日 08:30

 今から15年前、日本プロ野球選手会がオーナー主導の球団数削減と闘っていた。選手は12球団のシンボルカラーのひもを束ねてミサンガにし、手首にまいてプレー。ファンも身に着けて後押しした

▼以前からアンチ巨人だった私の手首にも巨人のオレンジがあった。ライバルが消えたら試合もできない。当たり前のことに思いが至り、敵意は消えた

▼当時、巨人選手の高橋由伸副会長も古田敦也会長とともに行動した。巨人の絶対権力者、渡辺恒雄オーナーが「たかが選手が」と激怒する中、将来を考えれば怖さもあったのではないか。空前のストを経て12球団制を守った選手たちの覚悟に敬意を抱いた

▼25日、巨人の阿部慎之助捕手が引退を発表した。輝かしい実績に拍手を送りたい。ただ、会見の映像には驚いた。メディアがそろって阿部捕手のユニホーム風Tシャツを着ている

▼記者はファンではない。敬意を示す方法も違う。相手と信頼、緊張関係を保ち、是も非も書くのが仕事だ。スポーツ取材も同じ。あの光景には一片の批評の心もなかった

▼Tシャツは球団が演出のため配った。着ないと気を悪くするだろう。カメラマンにも「絵」が台無し、と怒られるかもしれない。悩ましいが、私が現場にいたらやっぱり着ない。映像をよく見ると着ていない人がいた。少しほっとした。(阿部岳

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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