沖縄県の石垣市と竹富町で台風18号の暴風が原因となった大規模通信障害が、住民生活を直撃した。暴風雨で人命被害のおそれがある中、電話やインターネットが軒並み不通に。「命綱」である110番や119番通報もできなくなり、台風が吹き荒れる中、住民や観光客は不安な夜を過ごした。

空の便が欠航し、空港カウンターに行列をつくる観光客ら=1日午前10時ごろ、石垣空港

 通信障害は9月30日午後9時45分ごろ発生。事態が長引くにつれ、行政機関の職員らに動揺が広がった。

 八重山署では、110番通報がまひしたほか、署員の携帯も不通になり、無線で連絡を取り合った。休みの署員にも招集をかけ、通常よりもパトロール巡回を強化。交番には当番を配置し、市民が駆け込んだ際に対応できる態勢を整えた。

 地域のFMラジオ放送局にも協力してもらい、緊急時には最寄りの警察官や巡回パトカーに通報するよう呼び掛けた。

 台風に備え、通常は10人の要員を30人態勢にして業務に当たっていた石垣市消防本部も、車両巡回態勢を強化して対応した。

 同市防災危機管理室は、市役所内に消防無線を置いて消防と情報を共有。不通になってから約1時間30分後、ようやく県と交信できた。大濵武室長は「こんなことは初めて」と疲れた様子だった。

 県立八重山病院は消防と連絡を取っていたが、復旧見通しなど詳しい状況は分からないまま。結果的に救急対応はなかったものの、狩野誠総務課長は「運ばれてくる人がいたとしても、いつものように前もって症状を知ることができない。想定外の事態だった」と話した。

 一夜明けた石垣空港も帰路を急ぐ観光客であふれた。到着直後にスマートフォンが復旧した会社員の久保翼さん(27)=大阪府=は「昨日は帰れない上、ネットも見られずに気が気でなかった。職場の上司から『ニュース見た。ゆっくり帰っておいで』とのラインが届き、少し落ち着いた」と、ほっとした様子だった。

 一方、市の避難所で朝を迎えた女性(72)は「1人暮らしなので通信障害は気にならない。住民間で励まし合って心強かった」と話した。