八重山を直撃した台風18号の影響で、夜の9時半すぎから約11時間にわたって石垣市と竹富町の全域、与那国町の一部で電話やインターネットが使えなくなる通信障害が発生した。情報発信も受信もできない異例の事態である。

 外部との通信遮断は社会・経済活動をまひさせる。特に台風などの災害時は人命を危険にさらすことにもなりかねない。離島県だけに確実な情報伝達手段を二重、三重に確保するという課題が浮かぶ。

 新石垣空港では専用システムに不具合が発生、約3千人に影響が出た。石垣島地方気象台は観測データが気象庁に送信できなくなった。市民生活でも119番や110番が使えず、緊急時でも助けを呼ぶことができない異常な状況が続いたのだ。

 県災害対策本部会議で、通信障害は沖縄本島と宮古・八重山地方を結ぶ海底光ケーブルのうち、石垣島の陸上で強風による枝などの飛来物により損傷したと報告された。

 通信回線は本土とつながる沖縄本島を起点に、宮古島-石垣島-与那国島などと環状(ループ)に結ばれている。だが、台風18号の接近前に、与那国島陸上の回線がすでに損傷し断線していたことから、バックアップ機能が働かず、石垣市と竹富町の全ての通信が不通になったという。

 ただ、台風18号の最大瞬間風速は約43メートルとみられており、県内では毎シーズン観測されるレベルだ。損傷が相次いだケーブルの台風対策が十分だったのか。NTT西日本と県には、早急な検証とともにインフラ強化に取り組んでもらいたい。

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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化に伴い、巨大な台風によるリスクが増すと警告している。今回の台風で竹富町では、50年に1度の記録的な大雨を観測した。

 千葉県を直撃した台風15号では、東京を含む関東の広い地域で、携帯各社の基地局の電源が失われるなど通信障害が広がった。

 台風18号接近時、衛星電話は悪天候で機能せず、石垣市役所や消防、警察は無線に頼らざるを得なかった。

 さらに長時間、通信障害が続けば、社会生活や経済活動に悪影響を与えることになっただろう。

 インフラが被害を受け、いったん孤立すると復旧に時間を要する離島では、交通や行政機関の情報通信のバックアップ体制の整備強化は一層、重要だ。

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 今回、八重山署や石垣市消防本部は巡回を強化し、人海戦術で警戒にあたった。地元のFM局に協力してもらい、緊急時には交番などに来て連絡するよう呼び掛けた。幸い大きな被害はなかったが、孤立した住民や観光客は不安な夜を過ごした。

 台風に対する慣れは、最悪のケースに対する備えを鈍らせる。普段利用している通信サービスが使えない場合を想定した防災訓練も必要だ。

 東日本大震災でも千葉の台風被害でも「想定外」という言葉が繰り返された。

 重要なのは想定外にどう備えるかだ。