次々に発見される大量の空包や薬きょう、照明弾に手りゅう弾のようなもの。2016年に過半返還された米軍北部訓練場の跡地(4千ヘクタール)に、米軍のものと思われる危険な廃棄物が散らばっている。ここは国が世界自然遺産登録を進める森だ

▼返還地には大型車両のタイヤやバッテリー、さびたドラム缶も廃棄されていた。土壌から有毒性の汚染物質も検出されている。危険性除去は上空を飛ぶ米軍機だけではない

▼沖縄防衛局は17年、返還地の廃棄物の「支障(汚染)除去」を終えたとして地権者に土地を引き渡した。返還後1年で終えるのは異例の早さだ。現場の状況から防衛局の対応は「ずさん」としか言えない

▼20年の登録に向け、国際自然保護連合(IUCN)の専門家による現地調査が5日から始まる。調査は17年以来2回目で、返還地をやんばる国立公園に編入するなど推薦区域を見直してから初めて

▼菅義偉官房長官は「必ず指定されるように頑張る」と言うが、同訓練場の未返還部分(3500ヘクタール)と自然遺産との共存は無理がある

▼米軍に返還地の原状回復の義務がない日米地位協定も問題だ。米軍は海岸などを清掃して「良き隣人」になる活動をSNSでPRするが、まずは自分たちが捨てた危険なものから撤去してもらいたい。矛盾を抱えたままの登録は喜べない。(吉川毅)