韓国青年訪日団の学生や社会人11人が2日、沖縄県南城市内を巡って文化や歴史を学んだ。日韓両国の関係に溝が生じ、観光やスポーツ界などさまざまな分野に影を落とす中、参加したメンバーらは「今こそ民間人同士が絆を強める時だ」と強調した。

南城市指定文化財「中の井」(ナカヌカー)の解説をガイドの知念松夫さん(左)から聞く韓国の訪日団メンバーら=2日午前、同市佐敷小谷

 同事業は日韓文化交流基金の主催で年に数回実施。両国でメンバーを募って行き来する取り組みで、相互理解を重ねてきた。

 今回のメンバーは9月26日から来日して東京都内で祭りなどに参加。30日から沖縄へ移動して、ひめゆりの塔や米軍普天間飛行場、嘉手納基地なども視察した。

 最終日となる10月2日は昔ながらの生活跡が残る南城市佐敷小谷の集落を巡る「小谷(うくく)マーイ」を体験。地元の知念松夫さん(70)らの案内で民家や窯元なども訪れた。

 訪日団のクォン・ジュヨンさん(24)は滞在中の様子を会員制交流サイト(SNS)でアップすると好反応が多かったという。「今回の危機はお互いを見つめ合い、偏見や溝をなくす好機だと思う」と語る。

 また都内では高齢者と歴史観を述べ合う機会もあり、「温かい雰囲気の中、冷静にじっくり韓国と日本の教育の視点を語り合えた」と充実感を漂わせた。

 大学院で韓国古代史を専攻するイ・ジョンヨンさん(24)は「歴史を学べば学ぶほど日本と韓国は昔から互いに影響を与え、発展してきたことが分かる。反発し合ったままでいられるわけがない」と話した。

 通訳を務めた南城市の竹内章祝(あきのり)さん(47)は16年間、韓国に暮らした経験がある。「ニュースを見ていると一般人の感覚と隔たりを感じる。個人個人がそこまで負の感情を抱いているとは思えない」と指摘した。

 同行した同基金の清水中一さん(46)も事業の意義を強調。「例年より応募の動きがやや鈍かったのは事実。ただ、訪日中止の意見は出なかった。こんな情勢だからこそ交流を途切れさせてはいけない」と語った。